第3話 いたずら

いたずらの神さまは赤い光をずっと持ち続けられるようになりました。光がなくならないようにどんどん木を拾ってきては足していくのです。ある時、いたずらの神さまがふと物思いにふけっていると、以前この赤い光を触るととても痛かったことを思い出しました。いたずらの神さまはこう思いました。「この光は他の動物も痛いのだろうか?」そこで、試しに他の動物にいたずらしてみることにしました。ちょうど近くの泉にカバがいたので、赤い光のついた棒を近づけてみました。するとどうでしょう、カバはびっくりして逃げていくではありませんか。色々な動物に試してみました。馬はどうでしょう。馬も逃げて行きました。ネズミはどうでしょう。ネズミも逃げて行きました。どうやら動物たちはみんな前からそれが痛いということを知っていたようで、赤い光に触る前から逃げて行きました。ある時、野っ原でひなたぼっこをしているとライオンと目があってしまいました。「これはまずい。死んだな。」と思いました。いたずらの神様はいつもライオンに食べられているのです。ライオンがじりじりと近づいてきます。死を覚悟したその時、つい手に持った赤い光をライオンの顔に向けて叫びました「来るなっ。やめろ。食べるな。」するとどうでしょう。あのライオンが、容赦なく自分を食べにくるライオンが、背を向けて逃げていくではありませんか。いたずらの神様はまさかこの赤い光がライオンにも効くとは思ってもいませんでした。いたずらの神様は思いました。「これは天の光だ。この光の前にはどんな動物も逃げ出すんだ。これはすごい。」

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