選外:精神病院
ものは試し。それが筆者の基本的なスタイルである事に間違いは無い。というかもうね。学生時代にアニメを失敗させてから精神的にはズタボロのままだ。
いや一人でやったならまだ良い。問題は数十人集めて作っちまったって事だ。他人の時間をタダで使い、それでコケたって絶望だ。
さて、そんな事は先ず置こう。
とにかく筆者はずっと精神的に参っていた。そこでもしかすると、漫画とアニメで有名なあの某クリニックに通えば救われるのではと思い、上京から一年経った頃に門を叩いた。
□精神科の話
なお当時の精神的状況だが、出張ホストに身を置きつつ、やっとの事自主制作アニメを完成にまで持って行ったは良いものの鳴かず飛ばず。「マジか。身体まで売って終わらせたのにこのザマか」と意気も消沈し、暫くは何も手に付かない状態が続いていた。タイミングとしては、小説に少しずつ手を出し、アニメを作らない分時間が浮き始めた初秋の季節だ。
先ず仕事は休みとし、数日前にメールで予約。この時点で疑問には思ったが、そもそも精神的に極限の状態の時、平日の真っ昼間に予約なんて取る事が出来るだろうか。美容室でさえそうだが、この予約ってシステムは過大なる余裕ってヤツをこちら側に要求する。それだけでも圧迫感があるってのに、なんだってどいつもこいつも平然と潜り抜けていきやがるんだと。まあ内心ではそんな事を考えつつ池袋の駅前に至った訳だ。
エレベーターを上がりフロアに出ると、これまた凄い数の連中が椅子に座って順番を待っている。そりゃあもうインフルエンザがパンデミックした頃の内科の待合並だ。辟易としながら受付で保険証を出し、引き換えに問診票と簡単なイラストを要求される。
まあバウムテストってヤツだ。木を描くアレ。筆者は確か枯れた木を一本。もうどうでいいじゃねえかそんな事、と本音ではそんな感じで。
やがて呼ばれ女医さん二名と面談する訳だが、結論から言えばこうだ。
「仕事を休んだほうが良いのでは」
「栄養と睡眠を充分に摂り、規則正しい生活を心がけること」
筆者(それが出来たら苦労しねえだろうがよ)
そりゃあ筆者とて、仕事を休めるなら休みたいし、辞めれるなら辞めたいのである。仮に朝早く起き、午前中をジムで過ごし、昼食後昼寝を経て散歩、読書、創作と、貯蓄に何の不安も無く日々のサイクルを送る事が出来たのなら、一年もあれば充分に心は休まるのである。
だがそれが出来ないから困っているのであって、お金が無いから夜の仕事をしなければならないのである。そんな、分かりきった、パンが無いならパンを食えみたいな話をされた所で、こっちには何の救いもないのである(おまけに身を切る様な思いで、話したくもない出張ホストの話をさせられたばかりだ)
ファック……こんな事に半日と英世数枚を失うとは。
これならジムで身体を動かすか、湯治にでも向かうか、そうでなくとも家で創作していればよかった。
かくて筆者は、その様な想いを胸に去来させつつ精神科を去ったのであった。
□総括
筆者としては、精神科とは「経済的、或いは人的に余裕のあるブルジョワの特権」と結論づけたい。
暫く仕事を休んでも平気なホワイト企業の正社員や、貯蓄の充分あるニート。そうでないとすれば、恋人や伴侶に付き添ってもらえる所帯持ち。でなければ通院はとても無理だ。なにせ保険範囲内の診療はすぐに終わってしまうし、ソレ以外のカウンセリングは2k3kとかかる(生活保護はどうかなんて仰る方もあろうが、先ず「鬱病」と診断されてから一年の通院期間と、それから審査の為に、さらに金と時間がかかる)
まあ確かに思い起こせば、鬱病体験記なんかは大概「妻」「夫」「家族」の名前が出てきていたと朧げに思う。くっ……そういう事かよ……
そして救われたいと思っても救われないので、そのうち筆者は考えるのをやめた。
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