第31話 真相
「え、えええ?」
「ど、どうして?」
2人の目の前に現れた人物。それはそれぞれよく見知った人物であった。
「団長!」
目の前に現れた女性は、妙議団団長の木村詩織であった。
「団長!」
そして、男も団長と呼ばれた。団長と呼んだのは美緒であった。
そう、この人物が榛名団団長の伊香保源二郎その人であった。
伊香保源二郎。年齢は、23歳。職業は、群馬県警。身長189センチ、体重80キロ。こわもての顔をしている。元ヤンという噂もあるが、出身高校は群馬県でも1、2位を争う超有名進学男子校。大学はT大。すなわち見た目とは裏腹のかなり頭がいい天才である。
「美緒、何をしているんだ?」
圧、圧がかなり強い人間だったため美緒は自分の団の団長であるはずなのに、「ひぃ」とかなりビビっていた。
「あはははは。なになになに、源ちゃん、自分の部下にも怖がられているのぉ。あはははは、面白くて笑いが止まんないよお」
詩織が思いっきり源二郎をあおっていた。
源二郎は、面白がっている詩織に対して呆れた視線を送っている。相変らずこの女はうるさい。そんなようなことを思っていた。
「何よぉ、その眼」
「いや、何でもないぞ」
「いや、絶対に文句あるような目をしていたよ。文句があるなら口でいいなさいよ。しゃべらないと分からないじゃない」
「しゃべらないとわからないのか? お前は頭がよくないんだな」
「何よ! 頭がいいからって調子乗っちゃって」
「あ? 何だと?」
この2人。今がどういう局面なのかすっかり忘れているように見える。
「2人とも俺らを助けてください!」
「ええー」
詩織がいかにも嫌そうな顔をする。
「何でええって言うんですか? 助けに来てくれたんじゃないんですか?」
正行は、詩織の態度にツッコミを入れる。
正行としては詩織の態度にいちいちツッコミを入れていると体がもたないが、それでもツッコミをしないでいられない。第一、今戦い中であるのにどうしてこの人はこんなにふざけることができるんだ。そんな思いが強かった。
「助けに来たのはついでよ。あなた達は、もとより赤城団をおびき寄せるための餌だったわけ」
「え?」
「すべては榛名団と妙義団が仕組んでいたのさ。赤城団がこの黒幕であったことが分かっていたから、正行君が今回のことに違和感を覚えていろいろと動いてくれることは木村が予想していたからいいように動かしてみたのさ」
源二郎がそのようなことを言う。
つまりだ。
最初から、正行の行動というものは掌で踊らされていたということになる。
「お、俺の行動って」
正行は、源二郎の言葉を聞いてかなりショックしていた。
自分がやっていた行動のすべてが餌だったと。自分は何て単純な人間なんだ。そのようなことを考えていた。
「まあまあ、そういうわけだから」
「……私もその餌に乗っちゃったわけなのね」
美緒も悲しい目で正行を見てきた。
「そんな目で俺を見るな」
正行はとても悲しくなってきた。
「さて、正行で遊ぶのはこのあたりにしてそろそろ本番と行きますか」
「だな、木村。さて、敵さんもそろそろしびれを切らす頃だしね」
2人は、そう言うと、赤城団の敵言継に視線を向けるのであった。
そして、言継VS2人の戦いの火ぶたが今切って落とされようとしていた。
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