第29話 降伏
「ようやく見つけたぞ。赤城団のテリトリーに入って無事に帰れるとは思うなよ」
「なっ!?」
「ど、どうしてここにいるんだっ!?」
2人の前に現れたのは言継であった。
「どうして我がテリトリーから逃れられると思いか? お前らの動きはすべて視えていた。あまりに見えすぎていてとてもつまらなかった」
正行と美緒は自分達の動きがすべて知られていたことに驚愕する。
どこでバレたのか。どうしてバレたのか。その方法について考える。
「どうしてバレているの?」
美緒が不思議がる。
正行はどうしてバレているのか必死になって考える。どうしてだ。どうしてバレているんだ。だが、焦りが強くまともに正行は思考をまわすことができていない。
言継の優位が続いていた。
「どうして、か。わからないのか。まあ、お前らは凡人だからな。私の能力が分かっていないのだろう。ふふふ。圧倒的ではないか」
余裕で対応をする言継であった。
その余裕に対して正行らは何も対策を立てることができない。油断しているように見えるが、万全の構えでいる。
正行と美緒は完全につんだ。
そう思っても仕方ない局面であった。
「……万事休す、か」
「ええ、もうダメね」
2人は完全に諦めていた。
言継が強い。2人はそのことを認めていた。強いだけでない。戦略もうまい。だからこそ、完全に降参していた。
「負けか」
「降伏ね」
2人は、勝てないことを認め言継の軍門に下ろうとしていたのだった──
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます