第27話 休息

 「やべええええええええええええええ」



 正行は逃げていた。


 斬撃漆黒波をたくさん放つことで言継の視界を失わせた。


 その作戦がうまくいき、今正行は逃げていた。



 「だいぶ逃げられたよな」



 正行は、言継と戦っていた大沼湖畔から群馬県道4号線沿いにひたすら走り続けていた。



 「ここまで行けば……」



 群馬県道4号線は群馬県の県庁である前橋市中心部から始まり大沼まで至る県道である。多くの観光客が通る道路のため交通量が多い。


 その道沿いに正行は逃げていた。


 とりあえず、赤城団の本拠地を探すの諦め体制を立て直すことにした。


 ふもとまで逃げればどうにかなる。そう考えたのだった。



 「ふぅふぅう」



 ─疲れた。かなり疲れてしまった。



 正行は体力がある方であると考えている。


 しかし、想像以上の戦い。想像以上の神経を使いかなり披露してしまった。


 さらに全力での逃走。これが正行の体力を限界へといざなった。



 ─どこか一段休める場所を探さないと。



 正行は一段休むことにした。


 これ以上動くことは限界だからだ。


 だが、この場に留まることにリスクもあった。


 言継が追いかけてこない保証はないからだ。ここで休んでいて狙われるかもしれない。その心配を正行はしていた。


 どうか見つからないように。正行は祈り続ける。


 また、美緒のことも気がかりであった。



 ─美緒はどこへ逃げたのだろうか。



 正行と言継が対面している隙をついて美緒は逃げていた。


 「あいつめえ」と正行は思っていた。が、今となっては逃げるのもありだったではと思っている。



 「いったん寝るかあ」



 疲れすぎた正行は疲労に勝つことができず、軽く休むことにしてしまったのだった。



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