第22話 自戒
姿を消した正行は、容赦なくそして大人げなく戦いを終わらせたのであった。
正行は、峰打ちをし美緒を気絶させた。
美緒はそのまま地面に倒れた。
正行はそのままの状態にしておくのは申し訳ないと思い美緒の体を近くにある木の側に運びもたれさせようとする。
運んだ時に美緒の柔らかい体の感触を感じてしまった。
しかも、ちょっと、ほんのちょっとだが胸を触ってしまった。ああ、女子の胸ってこんなにも柔らかいんだ。
いやいや、意識が失っている女子にこんなことするって何て犯罪なんだ。
正行は、何もしていない。何も触っていない。そう、無心だ。無心。
正行は自らの煩悩を忘れようとする。
無事に運んで美緒を木にもたれさせると、俺は別の木の側に向かう。そして、俺は頭を思いっきりに木にぶつける。
「ああー、俺はいけないことをした。いけないことをしたああああああああああああ」
木に頭を思いっきりぶつける。
傍から見れば狂気の沙汰だと思う。
うん。正行も狂気の沙汰だと思っている。でも、正行はやってはいけないことをしてしまった。もちろん、正行も男だ。女子の胸を触る。それにロマンを抱いている。だから、触れてラッキーと思ってしまっている自分もいる。だが、それでも気を失っている人の胸を触るというのは犯罪だ。
だから、自分の自戒をこめて木に頭をぶつけて罰を受けている。
「何をしているの?」
「え?」
声がした。
振り向いてみると美緒が話しかけていた。
「いつから起きていた?」
「ん? さっきだよ」
どうやら正行は時間が忘れるほど頭を木にぶつけていたらしい。字面だけ見ると本当に正行は何をしているんだろ。
「頭を木にぶつけているってバカなの?」
「う、うう」
美緒に罵声を浴びさせられる。
正行は、女子に罵声を浴びさせるって何か来るよな。……べ、別にMじゃないからな。……多分Mじゃないと思いたい。
でも、なんか来ちゃった。
そんなことを1人思っていた。
「いや、そのね。悪いことしたからその自戒を込めて頭をぶつけて煩悩を消していたんだ」
「悪いこと?」
「ああ、悪いことだ」
美緒は不思議そうに正行を見るが、正行はそのことを素直に言うことなんかできない。素直に言ったら正行は変態確定だ。だから、誤魔化そうとする。
「それよりだ。落ち着いてくれたか?」
「ええ、分かったわよ。戦いはしないわ、もう。一緒に赤城団を探せばいいんでしょ」
美緒は降参した。
正行の言うことを聞いてくれるらしい。
正行は本当にありがたいと思った。
「ありがとう。しかし、問題はある」
「ええ、あるわね」
「赤城団の本部の入口は本当にどこにあるんだ?」
正行らが戦った理由の1つに赤城団の本部の入口が分からなかったことがある。
「入口が分からないと何も始まらないよ」
「そうだな」
俺達は再び入口探しの旅? というか探索をし始めたのだった。
うん。何か、これ見つかる気が全くしないな。正行はそんなことを思ったのだった。
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