第18話 知合



 正行と美緒の2人は、黒幕について深く知るために赤城団の本部へ急いで向かっていた。



 「赤城団の本部までどうやって行くんだよ」



 「そりゃあ、身体強化で空を駆けるしかないでしょ」



 「身体強化といえどもかなりの距離があるけどな」



 妙義山と赤城山の距離は直線で45キロ。かなりの距離がある。


 車で行くとなるとかなり迂回したうえで時間がかかってしまう。


 そこで、正行と美緒の2人が取った手は自身の進退を強化して外を走ることを考えた。


 彼は自分の体を強化して空を駆けることなど簡単なことである。


 魔術具は、使用者にも不思議な力を分け与える。その力を使い空を駆け抜ける。


 身体を強化しているため45キロを直線でしかもかなり速いペースで駆けることが可能になる。



 「それでも行くしかないでしょ。ほら、こんな無駄話している暇があったら早く行くよ」



 美緒に促された正行は、急いで赤城山に向かうことにする。



 ◇◇◇



 赤城山。


 上毛三山の1つである。群馬県の県庁所在地前橋市、前橋市の北部に位置している渋川市、沼田市、昭和村などにまたがる標高約1800mの山である。上毛かるたでも裾野は長し赤城山という札でも呼ばれているほど県民に愛されている山である。


 その赤城山のふもとに赤城団の本部が位置している。



 「赤城団の本部の入口ってどの辺?」



 「知らないわよ」



 「じゃあ、どうすればいいんだ?」



 赤城山は裾野が長いと言われるほど広い。簡単に見つけることができそうにない。それは複数の市町村にまたがっていることからもわかる。


 正行たちはせめてどのあたりなのかヒントがあればいいと思っていたが何にも思い浮かばず赤城山周辺までやってくるも途方に暮れる。



 「誰か知り合いがいないの?」



 美緒が言う。



 「いるわけないだろ? 俺の知り合いのほとんどは妙義団だぞ。そういう美緒こそどうなんだ?」



 「わ、私の知り合いもほとんどが榛名団だよ。……やっぱり他の団に知り合いなんてそう簡単にはいないものなんだね」



 「……わかっていたけどやっぱりそうなるものか」



 正行と美緒の2人は、赤城山の上空で悩み漂ったのだった。

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