第16話 事故



 美緒によって受けたダメージはかなり大きいものであった。


 立ち上がることができない。


 正行は美緒に見下される形で倒れていた。


 胸を事故的に触ってしまった正行であったが、美緒はズボンをはいていたのでパンツを見てしまう。そんなラッキースケベはなかった。


 いや、ラッキースケベを起こしたいという思いはないが、でも男である正行としてはそんな事故があったらうれしいなと心の片隅に思ってしまっていた。


 そして、さっき触った胸の心地を思い出すように手を開いたり閉めたりしていた。つまり、その行為がどういったものか。何もないところでモミモミする動作をしていたということだ。



 (やわらかかったな)



 正行は、人生で初めて触ったおっぱいの感触を忘れないように手を開いたり閉じたりしていた。


 しかし、いつまでも賢者モードになっているわけにはいかなった。正行ははっと思い出す。



 「いつまでもこんなことをしているわけにはいかない」



 正行は、気絶している美緒に再び触れることに罪悪感を少し感じていたが、とりあえず起こしてひもで縛りつけた。


 普通に泥棒を捕まえるようにひもで縛った。亀甲縛りとかそんなアブノーマルなことを正行はしていない。ちなみになぜ亀甲縛りの話が出てきたのかと言うと正行がそのような妄想をついしてしまったからである。


 ああ、男子高校生は常にエロいものだ。



 「うぅん」



 美緒を縛ってから10分が経過したころ、美緒はようやく意識を取り戻した。



 「ここは?」



 寝ぼけているようだった。


 目が覚めてまず周りを見渡していた。


 そして、正行と目がついに合う。


 目が合った瞬間に美緒は目が急に大きく開いて叫ぶ。



 「あああああああああ、変態だああああああ」



 「俺は変態じゃない!」



 美緒のヘンタイ発言に正行は怒鳴って否定をする。



 「ええ、私の胸を触ったくせに」



 「……」



 正行は、こいつ気絶していたはずなのにどうして知っているんだ、という表情をする。


 美緒の方もまさか本当に触られていたとは知らず顔が真っ赤になる。



 「えええ、ほ、ほ、ほんとに触っていたんですか……引きますよ」



 正行は、それはひかれても仕方ないと思った。



 「ご、ごめんなさい」



 正行は素直に謝る。


 この場には何とも言い難い空気が広まる。


 正行は居づらいし、美緒は生まれて初めて男の人に胸を揉まれてしまったという羞恥で動揺してしまっていた。動揺というか不思議な気持ちになっていた。



 「なあ、美緒。いい加減に諦めてくれないか」



 正行はこの空気を変えようとする。



 「諦める? 何の話なのかな?」



 「妙議団を攻めるという話だよ。俺らは話し合えば問題など解決できる。だから、一回休戦にしよう」



 正行は提案する。


 さて、この提案に対して美緒はどう答えたか。



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