3、夜の闇と招かざる客《3》

✳︎流血描写などの残酷描写が続きます。苦手な方は、ご注意くださいませ。



一方。

天蓋付きのベッドで眠る貴人――――マリーは、僅かな風の音を感じた。

一瞬で眠りの淵から覚醒し、ぱちっと両のまなこを開く。


(……来たか)


マリーは小さく呟いた。

そうしている間に、部屋の中へ入ってくる。


(一……二……三。総勢三人)


素早く殺し屋の気配を読み、敵の数を確認する。その間、約五秒。よかった。今日は数が少ない。

それにしてもなんてマヌケな殺し屋たち。上手く目標ターゲットの元までたどり着いたと思って、すっかり安心しきっているようだ。

人知れず、マリーの口元がゆるく弧を描く。

そうして、彼らの動きが止まった。

マリーは彼らから漏れる僅かな呼気で彼らの立ち位置を確認し、隠し持つ短剣の柄を握り直す。

何も知らない彼らがマリーへ剣を振りかざした、その、瞬間。

頭まで被っていた掛布を勢い良く蹴り上げ、マリーは反撃を開始した。



◆◇◆◇◆



剣をまさに振りかざさんとした首領格の男の頸動脈に突き刺さった短剣。

刺された痛みよりも驚きに目を見開いたまま、その男は頽れた。まずは、一人。

続いて、ベッドから飛び出たマリーに向かって、右からあざやかな蹴りをかましてきた男を、マリーは難なくかわし、振り向きざまに、相手の急所を別の短剣で刺す。

この男も、糸の切れた操り人形のように容易く頽れた。これで、二人。

そして。

すでに骸と化した男たちを眉ひとつ動かすことのなく、マリーは三人目の男を見た。

こんなにも早く、味方が返り討ちにあったのだ。

男は気が動転し、すぐさま切りかかってくるかと思われたが、仲間が倒されても大した動揺を見せることもない。この男が、本当の首領格であったか。

男は、マリーの存在を認めると、長剣を抜いた。

剣を抜くや否や、一気に間合いを詰めてくる。相当な手練れのようだが、しかし、マリーの相手ではなかった。

マリーは流れるような剣さばきでこの男の攻撃を受け流し、一瞬の隙をついて、一閃に薙ぎ払う。

そうして、寸分も違わず急所を刺された男は、声にならない声を出し、絶命した。これで、三人。

すべて終わった。

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