第15話 至高神との出会い
ぼくは、黒竜に向かって突撃し、黒竜の膝を駆け登り、黒竜の腹に剣を突き刺した。どすっ、と深々と突き刺さったが、黒竜の内臓に届いた手ごたえはない。
黒竜の左手がびゅんと飛んできたが、ぼくは、冷静にその動きを見て、かわした。
後ろを見ると、ソニアが立ち上がっていた。
「闇に食われなさい。それ」
ソニアが闇魔法を放った。黒竜の顔面を直撃する。
黒竜が、体の向きを左に九十度変えた。
「危ない」
ぼくは叫んだ。
「きゃっ」
黒竜の尻尾の目に見えない速さの攻撃を受けて、ソニアは地面に叩きつけられた。
ソニアの頭から血が流れている。
ソニアは地面に倒れたまま、また動かなくなった。
「この野郎」
ぼくは、黒竜の体をよじ登って、黒竜の顔面にしがみつく。
黒竜が首を振って、ぼくを振り落とそうとするが、なんとか、・腕に力を入れてしがみつく。
黒竜の左目に聖剣を突き刺した。
「ぎゃおおお」
黒竜が体を激しく降って、ぼくを振り落とそうとする。ぼくはしがみついて離れない。
黒竜の尻尾が、ぼくの背中に叩きつけられた。全身に激痛が走る。
ぼくは、必死にしがみつき続ける。
目の前が何が起こっているのか、はっきり認識できなかった。
だが、ぼくは正確に、聖剣を黒竜の左目から抜いた。
そして、黒竜の右目に突き刺す。
「ぎゃおおおお」
激しく全身を振った黒竜の首から、ぼくはずり落ちた。地面に落下する。再び、激痛がする。
しかし、なんとか、立ち上がった。見ると、両目を傷つけられた黒竜は目が見えなくなって、洞窟の壁に激突していた。
黒竜を殺すことはできない。しかし、どうやら、逃げのびることはできそうだ。
「人類よ、我を盲目にせし、汝の勝利を称えよう。汝の名を我に教えてくれ」
「チートだ」
「チートよ、我の負けだ。財宝は好きに持っていくがいい。いずれ、汝の勝利に見合った恩を返しに来よう」
「な、何をいってるんだ、黒竜」
「我ら黒竜は、強きものを探しているのだ。汝に、今後、竜の加護があるであろう」
黒竜は、そのまま、洞窟の壁伝いに、洞窟の入口へと歩いていった。
戦いは終わったのだ。
「ソニア」
ぼくは、地面に倒れているソニアを抱きかかえた。
「ううん……」
ソニアは呻き声を出すだけで、目を覚まさない。まだ、生きているようだが、果たして、治るのだろうか。
ぼくは、ソニアを地面に置き、大袋に金銀財宝を詰め込んだ。そして、大袋を背負い、ソニアを抱きかかえると、洞窟から出た。
黒竜の姿はもう見えない。
ぼくは、大富豪になった。
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