Epilogue

 師匠の上に自分のローブを掛け、家に入る。

 彼は一日、何もしていなかったのだろうか。ずっと、空を眺めていたのだろうか。

 いつも食事していたテーブルの上に、茶封筒と写真立てが伏せて置いてあった。

 手紙を読み終わると、その写真立てを持ち上げ、眺めた。


 師匠の大切な人は、家の先にある何もない、草原のような場所にいた。

 地面が少し盛り上がっており、近くに【永遠の花】が咲いていた。

 30分かけて深く穴を掘り、師匠を埋めた。顔に布を掛けて、土を入れていった。


 師匠は、分かっていたのだろう。

 私が殺しを言い訳に戻ってきたのを。


「私は、また…貴方にたくさん教わりたいです。本だけ読んでる修行なんて、聞いたことないですよ…? もっと実践とか、そんなことをしたかった…」




 写真立てを地面に置く。

 そこには、少女によく似た女性が、ロイと微笑んでいた。

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