Transmit

 僕は、大切な人を亡くし、苦しんだ。

 魂を召喚しようとして現れたきみは、変な少女だった。

 自分のことに興味がなくて、魔術にしか興味がない、おかしな弟子だった。



 僕が犯してきた行いは許されないものだ。

 弟子にも、迷惑をかけることとなるだろう。


 きみも気付いていたと思うが、僕はもう、長く生きられない。

 この家の本に必ず載っていた「命を代償とする術」。それが僕が行ってきた魔術だ。


 僕の大切な人も言っていた。「女のカンはすごいのよ」って。

 きみが僕に召喚されて、僕がこの術を行っていたことは…確信は得ずとも、そう思っていただろう。

 きみは賢いからね。


 一つ最後に、自慢話とお願いを聞いてくれないか。

【永遠の花】。あの花を見つけたのは、僕なんだ。

 とても綺麗な花で、大切な人にも見せた。彼女も気に入っていたよ。

 あの花に名前は付いていない。付けてほしかった彼女は死んでしまい、僕自身、そんな気になれなかったから。


 ぜひ、きみに名付けてほしい。



 それと、ここにあるもの、全部君にあげる。僕には、必要ないものだからね。

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