Result

【刃】を縦に振るった。刃といっても刃物が出てくるわけでもなく、風のような斬撃が向かっていった。 

 それは跳ね返していた膜を突き破り、師匠は杖で相殺した。が、数か所にかすり傷をつけたその間に、畳み掛けるように【俊足しゅんそく】を使い師匠のもとへ行き、首元に棒の先についている鋭く尖ったものを突きつけた。


「お見事です」

「……」


 表情を和らげ、彼はそう告げた。


「優秀な弟子に殺されるとは、僕はとても幸せです。ですが…もう少し、この生活を続けていたかった…」

「……」


 咳込み、口元を抑えていた師匠の掌には、血がびっしりと付着していた。

 立っていられなくなったのか、膝を着いた。


「ははは、情けないです。自らの行いで死ぬことになるとは」

「……」

「泣かないでくださいよ? 僕が死んだら、泣いてください…」


 小さくはにかんだと思うと、苦しそうに咳込み、地面に横倒れた。


「……【永遠の花】は、知っていますか?」

「はい…」

「彼女は…あの花が好きでして。僕も、好きなんです…」

「はい…!」

「この森の、少し先を行ったところに…あの花が植えられていて、そこ、に…」

「分かりました、師匠! …私! ここに来れて、幸せでしたっ」

「あはは…それは、召喚したかいが、ありましたね…」


 暫くすると彼は、動かなくなった。

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