第19話 登場人物設定

・橘灯


 地球で瀕死に陥っていたところを未開惑星調査機構の宇宙船に拉致され、強化生物としての改造を受ける。


 灯は元々山に捨てられた子であり、師匠が拾って育てた。名付けも育ても師匠によるもの。

 師匠は気功術の達人であり、灯を自らの子であると同時に唯一の弟子として気功術を授けた。

 灯が十五になった頃、師匠が老いて亡くなり、それからは師匠の山小屋と山を受け継いでひっそりと暮らしていた。

 崖から落ちて瀕死になった理由は定かではない。

 推測するなら、師匠の後継者争いや財産狙いの刺客に狙われるなどの厄介ごとに巻き込まれた可能性が考えられるが、詳細は不明。 


 作中では詳しく書かれていないが、強化生物としての改造を受ける際に脳をかなりいじられている。

 人工知能N-A-V-I内には、灯が生物殺しなどを躊躇わないように感情・性格・思考を無意識化にセーブする制御プログラムが構築されている。

 人間には未だ解明できていない脳の暗黒領域を開放されており、人間を越えた力と思考方法を持つように設定された。


 稼働実験と称して、魔王蟲を討伐する任務を請けて機構管理下の惑星に降下する。

 惑星降下後、僅か二日で魔法を会得したり、魔王蟲を討伐したり、制御プログラムの命令を無視して生物兵器の少女を助けたりと、彼女を改造した研究者たちの予想外の行動を次々と起こして度肝を抜かせる。


 魔王蟲討伐後はジンの魔力を追尾して転移し、全てが無事終わったことを告げ、ジンを森に帰して旅に出る。






・ジン


 灯が初めて降り立った森を管理していた風狼族の長の親戚。ぶっちゃけいじられ系のモブキャラ。

 人間によく変化し、森の外に出て遊んでいるという若者。ギルドのハンターランクは10段階中6段階で、中堅ハンターとして将来を期待されている。

 狼の魔物である割に人間に忌避感を持たず、むしろ積極的に町の住人達と関わり、小さな依頼も進んでこなしているために老若男女に人気である。


 灯のガイド役として長から推薦されたという経緯で仲間になったが、灯の尋常ならざる気配に当てられ、姐さんと呼んで慕う。

 魔物工場で自身の感知域を遥かに超える化け物と灯の魔力に当てられて恐慌状態に陥るが、灯に諭されて町に逃げ戻ることを余儀なくされる。

 町に戻る途中で魔王蟲を倒した灯に追いつかれ、再びガイドを頼まれたが、この頼みを辞退する。

 自分は灯にとって足手纏い以外の何物でもなく、まだまだ力不足であることを痛感し、これ以上灯に迷惑を掛けるわけにはいかないと思ったためだ。

 ハンターも一時廃業し、風狼族の長の下で修業に明け暮れる毎日を送る。






・少女


 魔王を倒すためだけに改造された元人間。

 人間が造りだした対魔王用決戦兵器であり、製造番号はK-66637564番である。秘匿名は『勇者』。

 強制的に密度の濃い魔力を浸透させられ、人間時の記憶は消されている。

 魔王を倒すという命令のみ刷り込まれた生体兵器。


 目覚める前に生体兵器の危険性が人間たちに広まり、研究所が放棄されることとなった。

 放棄された研究所の地下で、深い眠りに入っていた。

 だが、その肉体に魔王蟲が入り込み、強制的に目覚めさせられることとなる。

 地下で眠っていた他の『勇者』たちも、その魔王蟲の気配を察知し、目覚め、少女に襲い掛かった。

 だが、少女は元々の性能以上に魔王蟲の影響を受けていたため、多少苦戦しつつもたった一人で全員を返り討ちにする。

 そうした戦闘のすぐ後に、灯が降りてきたために連戦することとなる。

 少女はすぐに灯の力が強大であることを見抜き、全力で倒そうとするも返り討ちにされる。

 戦いの後、魔王蟲が胸部を食い破って抜け出したことにより致命傷を受け、生死の境を彷徨った。


 その後、現場に残っていた魔王蟲駆除隊により、灯に助けられたことを少女は知る。

 そして、命の恩人であるとともに世界の敵たる魔王蟲を倒した灯を自分より勇者の適正があると認識し、追うことにする。

 かなりの力が失われた今の自分では、到底魔王に敵わないだろう。

 だが、強大な敵を倒した灯を追い、共に戦って力をつけていけば、いずれは自身の生まれた動機である魔王退治の機会に恵まれることもあるかも知れない。

 そうした希望を胸に抱いて、少女は灯を追い続ける。






・魔王蟲


 未開惑星調査機構の条約内で危険認定されている、第三種指定災害生物。

 住みついた星のありとあらゆる生命体を食べ、自分の命令を聞く忠実な配下を生み出し、地中に巨大な巣穴を巡らせる。

 巣穴を作るとそれ以前よりも食欲が増し、配下に生命体を次々と捕獲させ、全て捕食する。

 その食事量は自重の何千倍もの量を軽々と吸収・消化するほど。


 食事量に比例して配下を増やし、星に存在する生命を全て食べ尽くす。

 星に存在する生命が魔王蟲と配下以外にいなくなると、次には配下を捕食し、最終的には自分の身体をも食らう。

 頭の中で一つのサイクルができているため、身体が無くなっても死なない。

 身体が無くなると土を食べ、岩を食べ、遂には星そのものを食べる。


 星そのもののエネルギーを取り込んだ後は、そのエネルギーを使って再び卵に戻る。

 宇宙空間に漂う卵は、気の遠くなる年月を経て別の星に漂着することになる。

 そして同じことが繰り返される。


 今回の件は、灯が魔王蟲の核である頭を消し飛ばしたことにより無事に解決した。






・主任


 見た目は幼女、中身はお馬鹿、それでも知能はかなり高いという変てこ宇宙人。

 瀕死の橘灯を改造した、八人のマッドサイエンティストの内の一人。

 向こう一週間分のおやつを賭けてトウィンと賭けを行った。

 ちなみに賭けの内容は、「灯が何日で魔王蟲を討伐できるか」というもの。

 その賭けを間近で観察するために、わざわざ魔王蟲の駆除隊と橘灯の起動実験における監察官を引き受けることにした。


 魔王蟲と灯の生体データを記録した後は、事後処理を面倒くさがって魔物工場があった島を丸ごと消滅させた。

 このことで機構から始末書と反省文をしこたま書かされることとなり、減俸三百年の宣告をも受けることとなった。






・おっさん


 名前はウィアル・クバスカ・イツェルノ・フクラウト・テスマルア・イゼンクスラフ・トウィン。

 瀕死の橘灯を改造した、八人のマッドサイエンティストの内の一人。

 イカれた享楽主義者であり、真面目な顔をしてふざけたことを平気で行う。

 呼吸をするように嘘を吐き、他人に迷惑を掛けることは日常茶飯事である。

 向こう一週間分のおやつを賭けて、主任に勝負を持ちかけた。

 元々の賭けの内容は、「魔王蟲は何日で知的生命体の住む惑星を滅ぼすことができるか」というものだった。

 だがそれは、地球から流れてきた橘灯の瀕死体を仕入れてから変化した。


『虚弱な肉体を持つ地球人類を改造し、魔王蟲と戦わせたら面白そうだ』


 橘灯の改造に関して使われた素材は全て高コストの一級品を使い、彼をこれ以上なくハイテンションにさせた。

 そして賭けの内容を、橘灯と魔王蟲の対決に変更させた。ちなみに、橘灯を改造した全員にそれぞれ違った賭けを提示している。

 中には、魔王蟲が灯を捕食するのにどれくらいの日数を掛けるか、という内容もあった。

 魔王蟲の購入費用も放流先も、上司を脅して決定させ、事後処理は同僚に任せ、そして当の本人は私室でのんびりと灯の旅路を鑑賞していた。


 まぁ、簡単に説明すると、今回の件における諸悪の根源である。

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宇宙人に拉致改造されて異世界へ 広畝 K @vonnzinn

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