第四十九話 順逆

 花の中に炎が立てば輝くが

 炎の中に花を焼べれば灰になる


 芸は身を立てるが

 meはゲイだと言えばカミングアウト


 嘘吐きは泥棒の始まりだが

 泥棒が嘘を吐いても当たり前だと思われるだけ


 人を頼るのは肩身が狭いが

 頼れる人だと思われるのはもっと肩身が狭い


 乞食と古事記の区別が付くと自慢したら

 甑と漉し器の区別も付かんくせにとこき下ろされた


 転ばぬ先の杖と言いながら

 杖を突くようになってから転ぶ転ぶ


 信用できる政治家がいないと嘆いたら

 政治家を信用するおまえがおかしいと笑われた


 日常を愛するほど

 愛が日常から離れていく



【 了 】

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