第十八話 宇宙人と僕

宇宙人が、地球人に捕まったんだって。

新聞にその顔がのってたけど、すっごい不気味な顔してるんだよね。


目は銀色で、まんまる。どこを見てるか分かんない。

口みたいのがどこにもないから、しゃべらないし、何も食べないんだって。


宇宙人はなんにもしてないのに、地球人に乱暴されたんかあちこちにすり傷がある。

なんか、かわいそーだなーと思う。


そう言ったら、パパに怒られた。


「こいつら、地球を滅亡させるんやで」


それはちょっといやかも。

でも、そんな力があるんだったらお願いしてみっかな。


宇宙人さん。

ぼくがこっそり逃がしてあげる。

代わりに僕のがっこの宿題をめつぼーさせてください。


お願いします。


うーん……。

それにしても。


そんなすっごい力があるんだったら。

こんな鎖くらいするっと抜けて逃げそうなもんだけどなー。


ぼくが新聞の宇宙人の顔をじっと見てたら、ぼくのアタマの中で声がした。


「ええねん。わぃ、不気味やろ? みんな、あんたみたいに気持ち悪いー思うやん。わぃのご飯は、その気持ちやからね。それでええねん」



【 了 】

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