アンバサダーのお仕事訪問!


とある地方にあるテーマパーク


「アーニメント・スタジオ」


そのパークの魅力を伝えるために活動するアンバサダー・キャストたちの

たのしくて、ちょっぴりおかしな毎日をちょっとだけ覗いてみましょう!




      ~~~キャスト・プロフィール~~~~~


★名前  安浦浜 舞(Yasurahama mai)

 年齢  15歳 高校1年

 誕生日 7月11日

◎コメント

 いつでも一生懸命! テーマパークが大好きな女の子。

 とっても頑張り屋さん。

 理想のキャストめざして今日もがんばります!



★名前  藤森りさ(Fujimori risa)

 年齢  15歳 高校1年

 誕生日 8月10日

◎コメント

 優しくて仲間思いなパークの妖精その2(?)

 おどおどしちゃうけど、みんなといっしょなら大丈夫! 

 え? 小学生じゃないですよー!?




       ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



         ☆星のかけらを集めてます


 「舞ちゃん、おはようございます! 取材がんばりましょー」


 うん、りさちゃん、がんばろうね。

 今日は雑誌のお仕事です。雑誌の取材は初めてだから、ちょっと緊張するなぁ。キャストのお仕事を紹介する、という内容で、私とりさちゃんはお掃除のキャストを担当するんです。


 「おはようございます。私は、今日お二人とご一緒するクリンナップ・アーティストです。よろしくおねがいしますね」


 はい、よろしくお願いします!


 「舞ちゃん、クリンナップ・アーティストってどんなお仕事なんですか?」


 ふふ、このお仕事はパークのお仕事の中でも人気のお仕事なんだよ?

 雨が降ったらホウキで地面に絵を描いたり、パントマイムしたりするんだよ!


 「そうなんですか! すごいですね!」

 

 「……いえ、お掃除のお仕事ですよ!?」


 あれ? お姉さんがちょっと戸惑ってる!?





         ☆魔法の道具


 カメラマンさんとライターさんもよろしくおねがいします。


 カメラマン・ライターさん:

 「よろしくおねがいしま~す」


 

 「えーと、それでは、さっそく資器材……あ、掃除道具をご説明しますね」


 ―――ピピッ


 「この小さくて細長いホウキ、よく見ると思うんですけど、これは『ペン・ブルーム』といいます」


 ペンですか?


 「ペンって字を書いたりするペンの事ですか?」

 「正解です! オンステージの景色の中の不自然なものを片付けるペン、ということです。そして、こっちの長い持ち手のついたホウキはダストパンです」


 なるほどー お掃除の道具の名前にもちゃんと意味があるんですねー。


 「そして、こっちの大きな車輪のついた箱は『トラッシュ・ダンプ』といいます」

 「ごみ箱の中身とかを運ぶんですね! 見たことありますー」

 「はーい、正解です!」

 「どれくらい、入るんですか? ちっちゃな子が入れそうですね」


 ちっちゃな子が入れそう……

 このサイズなら、りさちゃんなら……

 

 「え? え? なんでみんな私を見てるんですか?」


 あ、お姉さんも同じこと考えてるっぽい。





         ☆鳥類の王(地域限定)


 お姉さんに教えてもらって、ペンブルームとダストパンの使い方は何とか覚えられたかも。


 「それじゃあ、オンステージで実際にスイーピングしてみましょう!」


 はーい!

 りさちゃん、がんばろうね!


 「はい! ……あ、あそこにポップコーンが!」


 よーし! じゃあ、私が片付けてみるよ!


 「頑張ってください!」


 えーと、まず、周りにとんだポップコーンを……


 ――ガァーガァー!


 え? あ、か、鴨さんたちが!


 ――ガサガサ


 ――ガァー!


 どこからともなく、鴨さんの大群が!?

 えーと、鴨さん、それはお片付けするので……


 ――バサバサッ


 ――ガァーガァー!


 ――パクパク……


 どうしよう! 鴨さんたちがポップコーンを!

 あの! 私が掃除する分を……



 ――ガー!


 ――スタスタ……


 あれ? 帰るんですか?


 ああ! なんにも残ってない!

 お姉さん、どうしましょう!?

 ポップコーン全部食べられちゃいましたよ!? 


 

 「あー、パークではね、鴨が生態系の頂点にいるから。ほっとくと鴨に全部取られちゃうんだよね」


 鴨が生態系の頂点!?

 パークの中で何が起きてるの!?

 



         ☆握手会?



 「次はショーの会場周辺でクリンナップを行います。ゲストの出したごみを受け取ってトラッシュダンプに入れていきますよー」


 はーい!

 今度こそ、ちゃんとお役に立ちます!


 「はい! 今度は鴨さんに横取りされません!」


 ゲスト:「すみませーん、これお願いします。」


 はい! ありがとうございます! お預かりしますね!


 ゲスト:「あれ? ひょっとしてアンバサダーの人?」


 え、あ、はい!? その……


 ゲスト:「テレビで見ましたよー、あ、握手してもらえますか?」


 は、はい、ありがとうございます。


 ――あれー、あの人、有名人なの?


 ――あーテレビで見たかもー


 !? なんかゲストが集まってきましたよ!?


 す、すみません、あのサインは……

 

 ええ!? こんなにたくさん……


 では、その、1列に並んでいただけますか……


 どうしよう、ゲスト対応でお掃除全然できませんよ!?





         ☆もう慣れました


 「……ようやく、落ち着きましたねェ」


 うう、ごめんねりさちゃん、巻き込んじゃって……


 「大丈夫ですよ! まだまだ……」


 ゲスト:「すみません! ちょっとお願いできますか!?」


 はい! なんでしょう!? お役に立てる事であれば!!




 (表現できない、固形物と液体の混ざったあれ)


 ―――こ、これは、ゲ○…じゃなくて、おう吐物!


 (見せられないよ)


 「こ、これ、掃除するんですか!? うぷっ!」


 う、りさちゃんもなんか貰いゲ○状態に!?

 私も、ちょっとこれは……


 「あらあら、おう吐物ね~」


 お、お姉さん! これ、どうしましょう!?


 「あー、ちょうど目の前にゴミ箱トラッシュカンあるし、ちょっとまってねー」


 ――パカッ


 あ、お姉さん、何か袋を……


 「手袋はめて、この吸着剤をまいて…… あらあら、このピザ期間限定だったのにもったいないなぁ……あ、このチュロス新しい味のだね~ まだ食べたことないなぁ」


 お、お姉さん!?

 見ても大丈夫なんですか!?

 私、臭いだけでも……うぷっ!


 「ふふ、気温高いと臭いもきつくなるから、しょうがないよね?」


 ――ササッ ササッ


 慣れた手つきで、片付けていきますよ。


 「さ、さすがプロはちがう……」


 りさちゃんが感心してる……

 でも、やっぱり、臭いが……うぷ! 



         ☆もしくは救護室へ


 ふー、最後はオフィスでコメントですね?


 ライター:「最後にお仕事を経験についてコメントお願いします」


 はい! ありきたりですが、クリンナップ・アーティストの皆さんがいつも丁寧にお仕事しているからパークはいつもきれいなんですね。


 「そうですね! ゲストのみなさんも『ごみはゴミ箱へ』をお願いします!」


 うん、そうだね、りさちゃん! みんなでパークをきれいにしたいね。


 「あと……」


 あー……あのことだね……


 藤森・舞:

 「具合が悪い方は、できればおトイレに……」


 カメラマン・ライター

 「そうですねー」



 ……あ、田澤さんが「え? なに?」って怪訝そうな顔してますよ?




         ☆見本誌


――1か月後。

 

 あれ? おう吐物対応の事、バッサリ削られてますよ!?

 いちばん苦労したのに……

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