どっち?どっち?


とある地方にあるテーマパーク


「アーニメント・スタジオ」


そのパークの魅力を伝えるために活動するアンバサダー・キャストたちの

たのしくて、ちょっぴりおかしな毎日をちょっとだけ覗いてみましょう!




      ~~~キャスト・プロフィール~~~~~


★名前  菅野いずみ(Sugano Izumi)

 年齢  16歳 高校2年

 誕生日 7月23日

◎コメント

 東京出身で現役モデルからアンバサダーに転身したサバサバ系おねえさん。

 完璧なモデルスマイルは女の子のファンがたくさんできるほど。

 どうよ、まいったか、ふふふん!



★名前  飯島美咲(Misaki Iijima)

 年齢  16歳 高校1年

 誕生日 4月11日 

◎コメント

 さくらと同じ学校に通う元気娘。友達とおしゃべりするのが大好き。

 お胸がぺったんこな事が弱点。

 女の子らしくない? そうかな、あははー!




       ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




         ☆どっち? どっち? 



 「わたし達、アイドルじゃない?」


 アンバサダー・キャストだよ。

 ほら、美咲が変なこと言うからさくらも怪訝そうな顔してるじゃない。

 


 「いきなり、どうしたの?」

 「今日、授業中にずっと考えたんだけど」

 「授業に集中しないと、だめだよ、美咲ちゃん……」

 「わたし達、みんなの前で歌ったり、握手したり、サインしたり……やってること、実際アイドルと同じだと思うんだよね。――CDだって売ってるし」


 まあ、そうだけど……


 「ファンのためにファンサービスに励み、ステージの上でキラキラ輝く! これはまさにアイドルと言えるのでは!?」


 「アンバサダー・キャストだよ!」

  アンバサダー・キャストだよ!


 あ、さくらと声がかぶった!





         ☆どっちもだよ・・・?



 「アイドルの、人たちは、自分の魅力で、勝負してるから。――私たちは、パークのキャストとして、パークの魅力を、伝えるのが仕事、だから……」


  そうそう。立場がちょっと違うよね。


 「私たちの、魅力も、大切だと思う、けど……」


  美咲のファンはパークのファンでもあるでしょ?


 「おお、いずみん、確かに! そうだね! 私たちがパークの魅力を伝えないと!」


 ―― ガチャガチャ


 あれ? なにこのドリンク缶の音?

 久保田さんが重そうに段ボール箱を……

 久保田さん、その箱なんですか? リフドレって書いてるけど……



 「皆さんがローカルアイドルのクイズバトルに出演するので、準備ですよ」


 美咲&いずみ&さくら:(やっぱりアイドルなのかな……?)





         ☆Q~イク君の中身は稚内出身の劇団員


 テレレ~♪


 ――ローカルアイドル・クイズバトルだQ!!


 「今日は東北は秋田から2チーム!

 ローカルアイドルのFigure!と、アンバサダーのみなさんだQ!

 ではコメントをお願いだQ~!」


 

 「あ、アンバサダーのさくらといいます! 今日は、テレビのまえの皆さんに、パークの魅力をお伝えできるよう、がんばります! ぜひご家族でご覧ください!」


 「Figure!のわかばです! ご家族でご覧のみさんにも、秋田のいいところ、伝わるとうれしいです!」




 この番組、たしか深夜バラエティ枠だった気が……

 ※関東ローカル 深夜2部です

 

 家族で見てる人いるかな……?



 


         ☆サービス問題



 「最初は地元クイズのサービス問題で緊張をほぐすんだQ~!」

  チャレンジャールーレット~!


    てれってれー♪


  それではこの二人に問題だQ~!


 ★問題! 待ち合わせスポットで有名なハチ公の……


  回答者 美咲:「渋谷!」


  ぶー 


  …ハチ公の故郷はどこでしょう 答え:大館市



 ★問題! 絶滅したと思われていたこの魚の名前は?


  回答者 わかば:「し、しーらかんす!」


  ぶー


  答え:クニマス





 ……これ、秋田のPRになってるかな?


 次のチャレンジャーは――!


 この子だQ!



  ★問題! この映像ので作っている白い棒状の食べ物は?


   回答者 さくら:「ふぇぇ!? あ! バ、バニラバー!」


   ぶー


   答え:きりたんぽ






         ☆逆転チャンス!




 「さあ、スーパー逆転チャンス! 正解すると、何と現在の得点が3倍に!

  この問題は回答者の早押だQ~」



 ★問題!  雪を集めてつくる横手の冬の風物詩は?


  ピコーン♪!


 回答者 美咲:「わかったー! かまくら!」

 


 ちゃっちゃら~♪


 「大正解~! 

 

  それでは、チャンス成功! 得点が3倍になるQ! やったね!」


 さくら&美咲 「やったー!」


  ……どっちも0点なんだけど、どうしよう







 ―――― さて、今回のバトルの結果は!?


 でれでれでれー♪


 「ざんねん~ 引き分けだQ~」

 

  そりゃ、0×3=0だもんね……


 「それでは、罰ゲームとして、今日は秋田の新名物を食べていただきます。

 

  超レッドきりたんぽ~ 3倍バージョン!」


 え? なにこの真っ赤なきりたんぽ?



         ☆暴君



 「それでは、どーぞーだQ~!」


 あ! さくらが何の躊躇もせずに口にした!?


 「あ、すごく、辛いです……でも、おいしいです」

 

 へ? いや、なんか真っ赤なんだけど??


 「なんか大丈夫そう……」

 「うん、大丈夫そうぉ~」

 「わかばもいけそう? それなら…」


 Figureの3人も食べる気に…… 

 じゃあ、美咲、私たちも


 「うん、それじゃあ~」


 みんな、一口かじったわね……

 じゃあ、わたしも……


 あ、そんなに辛くな……


 辛く……


 ……


 


 !?



 「ぎゃあああああああ! 辛い!! 辛すぎる!!!」


  こ、これは、無理!!

  あ、わかばが涙目に!


  「無理ですーー!!」



 「唐辛子に秋田で育てたハバネロを混ぜ込んだ超レッドきりたんぽだQ~」


 そういえば、さくら!? あんなに一口に頬張ってたけど大丈夫!?


 「すごく辛い、ですね。モグモグ…… 食べるのに時間、かかりますね」


 …… え?


 「じ、時間の問題じゃないよ! あ! しゃべると辛さが!」


 美咲が口から火を噴きそうに!!

 そうだよ、さくら、いくらなんでも……


 「でも、おいしい、ですよ?」

 「さ、さくらのだけ、普通のヤツじゃないの??」


 観覧者の爆笑が聞こえる……


 番組が盛り上がったんならいいんだけど。

 

 ……いやいや、よくないだろ!?




         ☆スタッフがおいしくいただきません




 はー、ようやく楽屋に戻ってこれた……


 「お疲れ様でした。スタミナ切れにはリフレッシュドリンクですよ!」


 久保田さん、まさかこのためにリフドレを……

 美咲がペットボトルのリフドレを一気飲みしてるし……

 いや、まさかね。


 「しかし、あれは辛かった。さすがハバネロ様やで」

 

 なんで関西弁? まあ、でも、さくらのはなんで辛くなかったのかな?


 「私の、そんなに辛くないから、間違え、たのかな?」

 「え? それもらってきたの?」


 さくら、そのお皿の上の赤いものは……


 「余ったから、どうぞって、スタッフさんが。あんまり、辛くない、よ?」


 え? もらってきたの?


 「罰ゲームのは、3倍だから、これは、普通の辛さのだと思う。おいしいよ?」


 ――― ズイっ


 う……パ、パス!


 「……本来の辛さはどの程度なんだろう? 名物にするぐらいだから……」


 あ! ちょっと美咲!?


    パクっ もぐもぐ……


    ………


    …


    !?



 「ほえああああああああ!!! これ、3倍だよ!!!!」


 ほら、やっぱり! リフドレ飲みなさい!

 さくら!? それ、絶対3倍の奴だからよしなさ……


 ……え? もう半分食べたの!? 辛くないの!?


 「そんなに、辛い、かな? モグモグ……おいしいのに……」

 (↑ 辛さになれて平気になった)




 美咲&いずみ「さくらにそんなスキルがあったとは……」 






         ☆数日後



いずみの部屋のTV:

  『深夜のバラエティで話題になった超レッドきりたんぽ!』

  『おお~』


  ……あ、パークの宣伝全然してなかった

   

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る