ぶれいくえりあ! アンバサダーさんの日常

岩谷ゆず

こまち語講座?

とある地方にあるテーマパーク


       「アーニメント・スタジオ」


そのパークの魅力を伝えるために活動するアンバサダー・キャストたちの

たのしくて、ちょっぴりおかしな毎日をちょっとだけ覗いてみましょう!




      ~~~キャスト・プロフィール~~~~~


★名前  井川さくら(Sakura Ikawa)

 年齢  15歳 高校1年 

 誕生日 2月14日生まれ

◎コメント 

 秋田生まれのお嬢様育ち! かわいいものが大好き。

 ちょっと人見知りで恥ずかしがり屋さん。

 そんな自分を変えたいです! がんばり、ますっ!



★名前  小野寺こまち(Onodera Komachi)

 年齢  15歳 高校1年 

 誕生日 4月1日生まれ

◎コメント

 単語でお話しするパークの妖精その1? 実は頭もいい天才肌。

 今日もウピャーッと頑張っちゃうよ! 


       ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






         ☆個性的なキャストがそろってます!




 パークの広報大使をしている私たちアンバサダー・キャストは、個性的な仲間が毎日ステージやショーで頑張っています。


 私はステージユニット「フローラ!」のメンバーで、美咲ちゃん、いずみちゃんと一緒に活動しています。


 そして、同じアウローラユニットの仲間には、他にも個性豊かな……


 「おはご!」


 個性豊かな……


 「うぴゃーっ!!」


 えと、個性?





         ☆日本語族(諸説あります)





 「おはよう、こまちちゃん」

 「おつか!」


 こまちちゃんは、いつも話し方が特徴的、というか、不思議なお話の仕方をします。まんまるのノンフレームのメガネがお気に入りです。

 通訳? は、こまちちゃんと同じユニット「STAR」のつばさちゃんがしています。つばさちゃんは大学生で、国際資源学部、ていう学部なんだそうです。二人とも頭がいいんです。


 「おー、おはよう。なんだよ、機嫌いいなー」

 「ボーダー! 2万!」

 「まじかー、うち、5万ボーダーギリ越えられなかったのに」

 「むふー」


 あれ? つばさちゃんの言葉もよくわかんないかも!?


 「ん? ああ、これゲームの話だから」

 「そう、なんだ。つばさちゃん、こまちちゃんの言葉すぐわかるんだ、ね?」

 「いや、なんとなくわかるからなぁ こまち語そんなに難しくないぞ」

 「イージー!」


 こまちちゃんが、なぜか得意げな顔をしてます。

 


 「さくら、おはよー」

 「さくら、みんなで何の話?」


 今オフィスに入ってきたのは美咲ちゃんといずみちゃんです。

 美咲ちゃんはボブカットで明るい髪の色の元気な女の子で、いずみちゃんは美人さんです。黒髪が長くてきれいでうらやましいです。


 「えっと……こまちちゃん語について」


 いずみちゃんが変な顔してます。

 いきなりこまちちゃん語とか言ってもわかんないですよね……


 「こまちちゃん語? こまちの言葉のこと?」

 「あー、うちがこまちの通訳してることの話っぽい」


 美咲ちゃんがなんだか楽しそうです。


 「こまち語のことかー。ところで、こまち語ってなんなの?」


 えっと……こまちちゃんの個性?

 いずみちゃん、美咲ちゃんは、どう思う?

  

 「こまちの自己表現かな?」

 「こまちちゃんのキャラ! 猫とかイタチとかキャラある人いるじゃん?」


 たしかに、そうかも……


 「キャラ? うーん、まあ確かに話し方で誰だかわかるしなぁ。うちもいつの間にか理解できるようになったし? で、こまち、正解は? ズバリ、こまち語とは?」



 「系統が不明な孤立言語の一種」


 

 ――????



 「え? どういう意味?」



 あ、みんなの言葉がかぶってしまいました!


 



         ☆こまち語講座




 「つばさ、私らよりもこまちの会話の意味理解してるよね?」

 

 そう、だよね? 美咲ちゃんは、こまちちゃんの言葉、翻訳できる?  


 「あのさ、さっきの孤立したナントカってどういう意味?」


 う、私もよくわかんない。ところで、つばさちゃん、どうして通じるの?


 「いや、あのな、別にこんなのフィーリングでちゃんと通じるぞ?」


 そうでしょうか?


 「ほら、こまち、喜怒哀楽を順番に」


 「(*>▽<)うぴゃー」

 「(*>▽<)うぴゃー」

 「(*>▽<)うぴゃー」

 「(*>▽<)うぴゃー」

        ……どやぁ


 「な? 簡単だろ?」


 ―― どうしよう、ぜんぜんわかんない

  

 !? 美咲ちゃんといずみちゃんの心の声が聞こえましたよ!?





         ☆喜怒哀愛楽



 そうだ、みんなで、こまちちゃんの、言葉で会話したら、いいんじゃ、ないかな? 仲間なんだし、こまちちゃんのファンと、こまちちゃん語でお話できたら楽しい、と思うな。 どうかな? こまちちゃん?


 「こまちの気持ちになるですよー」

 

 !? それもこまちちゃん語?


 「ちがうでごぜーますよ」


 あ、そうなんだ……

 それで、美咲ちゃん、どうかな?


 「いいんじゃないかなー なんか楽しそうだし」


 いずみちゃ……なんで、そんなに嫌そう、なの?


 「いや、だって、こういう時、美咲が……」

 「じゃあ見本ね、こまちちゃん! 喜怒哀楽の"喜"!」 

 「(>▽<)うぴゃー」


 「次! つばさちゃん! 喜怒哀楽の"怒"!」

 「(>▽<)うぴゃー」


 「じゃあ、さくら! 喜怒哀楽の"哀"!」

 「(>▽<)うぴゃー」


 「つぎ! いずみん! かわいさ!」

 「(>▽<)うぴゃー

  ……

  (>△<)!?」


 


 「最後わたし! 喜怒哀楽の"楽"!

 (>▽<)うぴゃー」



 ……


 「おお! 意外とわかる! ね? さくら!」

 

 うん、そうだね。

 

 「ま、まって喜怒哀楽に"かわいさ"は無いから!」

 

 いずみちゃん、顔真っ赤だよ?





         ☆ゲストもいっしょに



 ステージの時間です。今日はこまちちゃんと一緒です。

 そういえば、こまちちゃんとステージ組むの久しぶりです。

 

 「あ、つばさちゃん、今日一緒じゃない、から。こまちちゃんの言葉、私たちが、通訳しないと……」

 「大丈夫大丈夫! 私たちもこまち語マスターしたし。ね? いずみん?」

 「……そうね……」

 「あれ? いずみん、顔赤いよ?」

 「美咲のせいでしょ!」

 「あ、でも、ゲストに通じるかな?」


 でも、あの話し方もこまちちゃんの個性なんだし、そういうところは大切にしていこう? ゲストにも、きっと、気持ち通じる、よ?


 「うん! きっとそうだよ!」

 「またせ! 準備!?」

 「うん、準備できてるよ。ね、さくら、美咲?」

 「そうそう! 今日のステージ盛り上げようね!」

 「がんばり、ます!」

 「おー!」


 


  ―― ステージ開演 ―― 


 

  『おはご!』


  "おはごぉ――――――!!"


  『うぴゃー!?』


  "ぴゃぁ―――――――!!"



  


 あれ? 私たちよりゲストの方が理解してる?



 ――― その後のステージでも、こまちちゃんに通訳は不要でした…


         ☆追伸


こまち:「あ、私、必要があればちゃんとしゃべりますので。そこは誤解しないでください。目上の人にもちゃんと敬語でお話ししますよ?」


さくら:「!?」

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