終幕

さよなら!と笑った少女が舞台から飛び降りた。


ひらりとはためくスカートと、ふわりと揺れる長い髪。


ああ、これで本当におしまいだ。


少女の笑顔がただの過去に、思い出に変わる。


声も、動きも、少女の存在そのものも。


「どうして彼女が」と客の一人が涙した。


「あんなに良い子だったのに」と客の一人が涙した。


僕は祭壇に飾られている少女の写真を見て、永遠の別れを告げた。


少女の舞台に、もう二度と開かれない幕が降ろされた。

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珈琲片手に紅茶片手に 春秋丸 @mapledanke

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