雨の日

「…ってさぁ」

 

彼女がなにか言い始めた。

時々ある事だが、それが独り言なのか、わたしに語りかけているのか、よくわからない。

 

「雨ってさぁ」

 

二回目

どうやら、わたしに語りかけているようだ。

わたしは彼女の方に顔を向ける。 

彼女はまだ外を見てる。

 

「雨ってさぁ、嫌だよね。」

 

そうだね。

 

「切ない気持ちにならない?」

 

そうかな?

 

「特に今ぐらい寒い時期の雨、私嫌いだなぁ。」

 

寒いのは嫌だね。

 

「私さぁ…」

 

何か言いかけて彼女はこちらを向いたが、そのあと黙ってしまった。

そしてまた、外を見てる。

 

わたしはどうしていいのかわからず、『にゃ〜』と鳴いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る