第41話 アイディアの消化

 「オリジナリティ」、「わかりやすさ(世界・設定) 」、「考証・設定(世界の構築)」、「アイディア(オリジナリティ、アンバランス、スタイル) 」あたりと関係している話です。


 新しいアイディアとはすでにあるアイディアや作品の掛けあわせという論がある。それはそれでいいとしよう。だが、そう言うに値しない作品や著者や評者が存在することも添えなくてはならない。

 既存のアイディアの掛けあわせというのは、組み合わせればいいというものではない。たとえば、ゾンビやゾンビらしきものが現れる小説が作られたとしよう、原理的にはその時点で評価の対象から外れる。

 そういう点について、「視点を変える」という手法がある。好きなように変えればいい。原理的には評価の対象から外れるという点には変わりはない。

 そのような作品、著者、評者のなにが問題なのだろうか。

 話はきわめて単純なものだ。既存のアイディアが十分に消化されているかいないか。それだけの話だ。そして、十分に消化され著者自身のものとして、もはや元にあった既存のアイディアや作品など見えないという段階に至らなければならない。

 もし、元にあるアイディアや作品が透けて見えるなら、著者によって十分に消化されていない。新しいアイディアとは既存のアイディアや作品の掛けあわせとは、元のアイディアなどが十分に消化されていなくていいという意味ではない。

 仮に元のアイディアや作品が透けて見えるとしよう。それは、著者の能力の限界を明示しているものであり、パクリ、盗作と同等のものだ。インスパイアであっても、そのようであるならパクリ、盗作と同等だ。

 ただし、一つだけ例外がある。それはオマージュの場合だ。オマージュでなく、そのようなものであるなら、パクリ、盗作、著者の能力の限界を示しているに過ぎない。

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創作雑感 宮沢弘 @psychohazard

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