第29話構成(リズムと終わること)
書かないことこそ書くこととかとも関係します。また、人によって好みはあるでしょう。ただ、これははっきり書いておきたいということが二点ある:
+ 終わらない話はない。
+ リズムを自覚する。
この二つは関係してます。
私の場合、中編相当くらいでの2,000文字 x 5話 x 5章が基本的なリズムです。2,000文字というのは私の認知機能の範囲という条件もあります。一度に見えるのがそのくらいの分量ということです。なので、文字数はちょっと話から外しましょう。
すると、5話 x 5章というあたりがリズムです。このリズムが存在するということは、なにより、終わることがわかっているということでもあります。終わることがわかっているため、何を書くか、どこに焦点をあてるかを絞り込むことになります。そのために、逆に5話 x 5章という構成において、どこに何を書くかを考えることになります。
これはまた、冒頭と終わりをどうするかにも関わってきます。これは単純に「使える話数に制限がある」ということです。始まりそのものには一話しか使えません。終わりそのものにも一話しか使えません。冒頭はとくに重要です。冒頭の一話で構築した世界を提示します。どうにか使えたとしても二話に納めたいところです。ゆっくり提示していく余裕はありません。終わりも同じです。
カクヨムなので、ラノベを目指している人が多いだろうと思いますし、書籍化や連載とかを意識している人も多いだろうと思います。実のところ、そこがそもそも的に問題になります。いや、冒頭についてはラノベでも同じはずなのですが、その後が違ってきます。にもかかわらず、冒頭がゆっくりな話を目にします。
これはプロットを組むかどうかという話とも関係しますが、そこはとりあえず置いておくとします。
ここで、「構成」に書いたキャラクター主導、ガジェットやトリック主導、共感主導、状況主導あたりが関係してきます。おおまかに言えば、キャラクター主導とガジェット主導以外の、トリック主導、共感主導、状況主導は終わることが前提になります。トリックは解かれれば終わります。共感は、延々と共感を得続けることはできません。状況主導は、状況が変われば終わります。対してキャラクター主導とガジェット主導は、「そのキャラクター/ガジェットにまつわること」として書き続けることができます。
さて、ここが問題になります。とくにキャラクター主導の場合ですが、どうやら世間的には「魅力的なキャラクター」があまりにも重視されています。あなたが、「話が終わること」よりも「魅力的なキャラクター」を重視するなら、それで構わないでしょう。ですが、話を重視するなら、違ってきます。
ここで、先に書いた5話 x 5章というリズムを意識することが必要になります。5 x 5でなくてももちろんかまいません。ともかくリズムを意識して、それを制約としても意識するということです。そのリズムを意識するのは守破離の守の前の段階です。ですが、そこからはじめることなしに離にいたることもないでしょう。これは、先にも書きましたが、終わりを意識することになります。さらには、配分や分量も意識することになります。
さて、きついことを言いましょう。あなたのその作品、本当にその文字数が必要ですか? まず間違いなく、そしてプロの作品においても、さらにはプロの純文学系の作品においても、その文字数は不要です。
なのに、プロにおいてもなぜそういう文字数を費やしているのでしょうか。それは作品とはまったく関係ない、大人の事情によるものです。ではそれを確認してみましょう。「ここは不要だ」と思うところの横にでも鉛筆で線を引いてみましょう。どれほど密度が高いと言われる作品でも、まず間違いなく3/4くらいにはなります。だいたいは2/3くらいにはなります。なかには、1/2を割り込むものもあります。
これでわかることは、つまり「話を書くことと水増しの混同」があるということです。これは「形容と説明、描写は悪手」に書いたこととも関係します。
その混同から抜け出すのにいい方法があります。一章、あるいは一話を俳句や和歌にしてみましょう。俳句や和歌にするのはむずかしいとしても、それらの文字数で書いてみましょう。それで書けないなら、「何を書きたいのかがわかっていない」ということです。そして、その話や章で書かなければならないのは、たったそれだけです。この段階で、守破離の守の段階だとおもってください。
では、破の段階はというと、全体を俳句や和歌の形、あるいは文字数で書けることをひとまずの目安としたいと思います。その段階では、たとえば5 x 5から外れることもあるでしょう。ですから破の段階の目安とします。
だとしたら、離は? それは書くことができるものではないでしょう。離なのですから、自身のスタイルということになります。
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