第13話竹から溢れた水

酒の楽園で無事酢竹を確保した俺は使用人に命じて転送魔法センターに運ばせトフポー子爵に酢竹を届けさせた。


配送完了の報告を聞く事無く再び伝信機センターに向かい上級会員専用個室を借りてトフポー子爵に連絡する。

受付嬢にトフポー子爵の名前を告げて待つ事暫し、再び映像水晶板に恰幅の良い体が写る。


「おお、アーク。随分と早い連絡だな」


「例の物をそちらに送りました」


例の物とは勿論、酢竹のことである。


「それと酢竹を採取した時に気になった事が」


そう言って酢竹の根を切った時に水が零れるほど溢れた事を伝える。


「ほう、水が……」


「竹と言う植物は皆あのように水が溢れる物なのですか?」


「いや、普通の植物でそんな事はありえない、それだけの量の水分を根に蓄えれば間違いなく根腐れを起こしてしまうからだ」


と言うことは根腐れが起きない理由があると言うことか。


「興味深いな、既存の植物にはありえない性質か。植物を専門に扱って早数十年、いまだ見たことも無い植物が数多くある、コレだから植物研究はやめられん。すぐに受け取りに行かせるから結果が出るのをゆっくり待っているがいい」


待ちきれなくなったのか挨拶もそこそこに通信を切るトフポー子爵。


一端屋敷に帰りたい所だが別の知り合いにも聞いておきたい事があるので再び伝信機のボタンを押して通信を行なう。


「こちらはソミシルの街所属の伝信機センターです、通信をご希望のお客様のお名前とご住所をお教えください」


「カヌレ騎士爵に取次ぎを頼む、アーク=テッカマー=ローカリットといえば伝わる」


「承知いたしました、少々お待ちください」


流石に今度の相手は魔導通信機を買う様な甲斐性もコネも無いのでのんびり待たせてもらう事にした。

備え付けの連絡装置で紅茶のモーニングセットを頼んで遅めの朝食を頂くとするか。

暫くすると職員がモーニングを持ってくる、この街のモーニングはバターの乗ったトースト、スクランブルエッグそれに厚めのベーコンとサラダだ。

なかなか美味い、それともこういう場所で食べるから美味く感じるのだろうか?



朝食が終わってまったりしていた頃になってようやく映像水晶板に通信が入る、といってもサウンドオンリーと書かれているが。

おそらく向こうからは通常サービスで掛けているからだろう。


「遅くなって申し訳ない! アークさん!!」


伝信機からは荒い息が聞こえる、きっと走ってきたのだろう。


「お久しぶりですカヌレ騎士爵」


「ええ……お久しぶりです、その節は大変お世話になりました」


カヌレ=ミツロー騎士爵、彼女とはある魔法が縁で知り合う事になった。

当時彼女は医学を学んでいた学徒で将来は研究職に付きたいと考えていた。

だがその為には目に見えないほど小さな物を見るための顕微魔法の習得が必須だったらしい。

しかし彼女には既存の顕微魔法は相性が悪く覚えることが出来なかった。

騎士爵である彼女の家の資産では何冊も魔法書を買うようなお金も無く、もはや夢は夢と諦めるしかないと嘆いていた時に俺を紹介されたのだ。

当時の俺はすでに魔法書の翻訳や写本を作っていたので顕微魔法のみを売る事にも問題は無かった。

魔法書と言うのは複数の魔法の契約術式が書かれている為お高いのだ、だから目的の魔法単品で買った方が安くなる。

勿論店としては纏めて売りたいから単品販売なんてしたくない、だが俺は金儲けの為に魔法書を集めていた訳ではないので彼女の所有する魔法を教えて貰うことで教わった魔法の数だけ所有する顕微魔法を個別にゆずる事にした。


既にお気づきとは思うが同じ系統の魔法でも効果が少し違うと契約術式の内容も微妙に変化して別の魔法としてカウントされる為、過去に覚える事の出来なかった系統の魔法を習得できる可能性があるのだ。


例えばある魔法書で一つの火の玉が出る魔法を覚えるのに失敗しても、別の魔法書で二つの火の玉が出る魔法なら覚える事が出来るかもしれないわけだ。


結果としてカヌレ騎士爵は念願の顕微魔法を覚え研究者になる夢をかなえ、俺はと言えば皆さん後存知の通り魔法を覚える事は出来なかった。


「いえいえ、こちらこそ魔法を教えて頂いたのでお互い様ですよ」


「そういえば無事に魔法は覚えられたのですか?」


「ええ、おかげさまで、期日一日前に覚える事が出来ましたよ」


「一日前!? ギリギリじゃないですか!!」


「はははは、そんなこんなで名誉男爵の爵位を授かり結婚もできました、今ではアーク=テッカマー=アルフレイムです」


「名誉男爵!? それに結婚? え?アルフレイム!? だ、大出世じゃ無いですか!!! しかもアルフレイムって!!」


声だけでも相当驚いているのが伝わる、相変わらずリアクションの良い人だ。


「ところで今日はカヌレ騎士爵に頼みたい事があって連絡をしたんですよ」


「私に頼みですか?」


「ええ、カヌレ騎士爵はクイラをご存知ですか?」


「ええ、勿論です、研究者にとってクイラとジスコは有名な細菌ですからね」


そういえばクイラの正体を突き止めたのも、とある細菌学者だったらしいな。


「実はそのクイラと酢酸菌に関しての資料が欲しいんですよ」


「クイラと酢酸菌?なんでまたそんな物を?」


カヌレ騎士爵が不思議そうに聞き返す。まぁ当然か、かつての大災厄を招いた病原菌と酢を作る細菌に付いて知りたいといわれても関連性がつかめないだろう。


「実は……」


特に隠すことも無いので酢竹に付いて説明をする。


「なるほど、そう言うことですか、酒が酢に。それは私としても興味が有ります。

分かりました、危険な事に使うわけでは無いようですし資料を纏めてそちらにお送りしますので数日お待ちください」


「ありがとうございます、このお礼はいずれ」


その後カヌレ騎士爵と軽くお互いの近況を話してから通信を切った。


する事は全てやったし一端屋敷に帰ろう、そろそろシエラが起きている頃だ。




「で、一緒に酒の楽園で酒の研究をする事にしたのか?」


共に朝食を取りながら酢竹の事を話した俺にシエラが聞いて来る。


「いや、まだ決めてない。個人的に酢竹の事が気になったから調べて貰っているだけだ」


「アークの事だから一も二も無く参加すると思った」


イヤイヤ、そうもいかんて。


「今は名誉貴族だし結婚してアルフレイム家の一員になったからな。家名を汚す真似は出来ないさ」


「結婚……いい響きだ」


俺の言葉にウットリとしながら頬に手を当てるシエラ、普段の我が道を往く姿しか見た事の無い奴は知らないだろうが、これで結構シエラは乙女なのだ。


「結婚する前は血痕を見て結婚を連想してしまうほど憧れたモノだが実際になってみるとまた別の感慨が沸くものだ」


何か今、すべてが台無しになる様な発言をされた気がするがそっとしておこう、追求してはいけない。


「だがお爺様はそんな事を気にしないと思うぞ、どうせ爵位を継ぐのは私だしな」


以前義爺さんにシエラと結婚をすると報告に言った時、結婚の条件の一つとして義父さんが引退する時は爵位をシエラに継がせる事を約束しろと言われた。

俺は爵位に関しては全く興味なかったし、アルフレイムの家としても血縁に継がせたいのは当然だろう。

二つ返事でシエラが継ぐ事を受け入れ俺は婿養子としてアルフレイムの家に入った。


「義爺さんが気にしなくてもジャーキーって言う組織が問題を起こすかもしれない、そうなったら非正規組織を庇う後ろ盾なんて無いからアルフレイムの家にも迷惑がかかる可能性が高い。だから保留」


「そうか、まぁそれに関してはアークの好きにすると良い」


「ああ」


食事も終わり会話が途切れたのでまったりとした朝を過ごす。


「所でデザートが食べたい」


そう言って立ち上がるシエラ。


「ん? 果物か? それとも菓子か?」


「アークが食べたい」


シエラが俺の後ろに回り込んでから抱きしめつつ顔を近づけてくる。

その台詞、男が言うもんじゃ無いですかね?

俺達は口付けと共にデザートを貪り合うのだった。



数日後、伝信機センターから職員がやって来てトフポー子爵から通信が来ているとの知らせが入った。

さっそく職員に金を支払って簡易通信装置を用意してもらう。

伝信機センターから呼び出しがあった場合、センターまで出向いて通信をするのと職員が持って来た簡易通信装置で通信する二つの方法を選択できる。

勿論後者は高いし近くの金持ちの屋敷位にしか装置を持ってこない、普通は一度センターに向かう。


しかし相手は仮にも子爵、待たせては失礼だ、躊躇う事無くこの場で会話を行なう事を選択した。


「お早うございますトフポー子爵。随分と早い連絡ですがもう解析は終わったのですか?」


「ああ、面白い構造をしていたぞこの植物は!」


映像水晶板越しに見えるトフポー子爵は目の下にクマを作りながら、しかし満足そうな顔で応えた。

徹夜したなコレは。


「コイツは根から吸い上げた水分を節に溜める性質を持っている。 恐らくだがサボテンの様に雨が降らない時の為に水を蓄えているんだろう。 水筒になるくらいだから水分を溜め込みすぎて腐ることも無いしな。 そしてこの節と節を仕切る壁は実は完全な密室ではなかったのだ」


完全な密室では無い? それだと水が零れてしまうと思うのだが?


「それじゃあ水が零れると思っただろう?、だがそうはならないんだ」


俺の心を読んだ様にトフポー子爵は言葉を続ける。


「酢竹は水を節に蓄える為に全身をスポンジ状にしていたんだよ、そして十分に水分が溜まったらスポンジが埋まって壁になるんだ、下側の水の溜まった所から壁が埋まるから根元はがっちりと硬く上はスポンジ状だから軽い、中々に面白い性質だよ」


「でもソレだと上に水を送れないんじゃないですか?」


俺の疑問にトフポー子爵は心配御無用と言いながら説明を続ける。


「植物には道管と呼ばれる水を運ぶ血管のようなモノがあるんだ。

酢竹の場合は表皮と内壁の間に道菅がある、酢竹の道菅は通常の植物よりも太い構造をしていたから輪切りにすると目に見える大きさの穴が確認できるぞ。

ソレを伝って上に水を流す構造になっていたんだ」


なるほど、わざと壁が埋まらない部分を用意するわけか。


「竹は植物の中では驚くほど成長が早い、恐らく根に大量の水分があったのも上へ上へと水を押し上げるからだろうな。ついでに言うと通常の竹は節の数が初めから決まっていてそれが少しずつ伸びて広くなるのだが酢竹は新たに節が作られていく構造になっていた、と言うのも若い酢竹の節の数が明らかに少なかったから分かったのだが。これは水を蓄えたら節が埋まるためだろうな」


「それでは酒竹が酢竹になった理由も分かったんですか?」


だがその質問にトフポー子爵は苦い顔をする。


「……うむ、申し訳ないがそちらはまだ調査中だ、せめて酒竹の本物があればな……」


まぁコレは仕方が無い、むしろこの短時間でここまで調べてくれた事に感謝するべきだろう。

そについてはこちらから提示できる情報もあるしな。


「その件なのですがこちらから提示できる情報が有ります」


「ほう?」


興味深げにこちらの言葉に反応するトフポー子爵。

俺はカヌレ騎士爵から送られてきた資料を手に説明を始める。


「クイラと酢を作る酢酸菌について知人から情報を貰ったのですが、酢酸菌と言うのはクイラよりも大きい菌だそうです」


「それはどういう事だね?」


「先ほど酢竹はスポンジ状の構造をしているとおっしゃっていましたね。

其処から導き出された推測なのですが、酒竹とは水分と一緒に酒を作る菌も内部に吸い上げた、もしくは体内で酒を作ることのできる構造をしていたのでは無いでしょうか? そしてスポンジ部は病原菌が入れない様な細かい目で構成され、それが天然のろ過装置になっていたのではないかと。万一病原菌が侵入して来ても体内のアルコールで消毒できますから、ですがアルコールの天敵であるクイラには寧ろ逆効果だった」


「面白い考察だな、では酢になった理由は?」


「これも推測ですが酢竹は昔からあったのでは? たまたま数の多い酒竹だけが記憶に残り酢竹は失敗したワインのようにハズレ扱いされていたのではないでしょうか?」


「それはちと強引過ぎないか?」


トフポー子爵が顔をしかめる、だが説明はコレで終わりではない。


「勿論根拠は有ります、酢竹のスポンジ構造ですが、「全身」がスポンジ状とおっしゃいましたね、ですが水分を吸い上げるだけなら道菅を通して水を上にくみ上げればいい……本来のスキマはもっと細かかったのでは無いでしょうか?」


「ほう、細かいとな?」


「はい、酢竹は触れると表面がしっとりしています、最初に触れた時は濡れているのかと思いましたがアレは全身がスポンジ状だったのが原因なのでは?」


「ああ、確かにしっとりとしていたな」


俺も最初に酒の楽園で触った時は驚いた、だがそれが理由なら色々と説明がつく。


「全身がスポンジ状なら表皮にも簡単に穴が空くでしょう、そこから酢酸菌が浸入した訳です。

自然に生える植物ですから傷がつくのは必然ですしね。

酢酸菌は酸素を好む好気性の細菌ですがスポンジ状の体から酸素を取り込めれるので生存に問題は無い。

そして節の中が満たされてスポンジが埋められた時には酒は既に酢になっていると言う寸法です」


「なるほど、それでスポンジの目の小さな酒竹だけが絶滅し目の大きな竹だけが残って酢竹になってしまったという訳か」


トフポー子爵は俺の推論に異論は無いようだ、ともすればコレで酒竹絶滅の謎が明かされたわけだ、情報をくれたカヌレ騎士爵には感謝しないとな。 


「ですのでスポンジの目の小さい酢竹同士を掛け合わせればまた酒竹が復活すると思うんです」


少々興奮しながら今後の計画をトフポー子爵に伝えるのだが何故かトフポー子爵は浮かない顔だ。


「どうしたんですか? 何か問題でも?」


「ああ、問題ありだ」


え? どこか間違っていたかな? 植物なんだから交配を続ければと思っていたんだが。


「竹は地下茎で生息域を伸ばす植物だ、普通の花の様に花粉を擦り付けて受粉したりしない。

根を切り離した竹を別の場所に植えても元は同一の竹だから交配は不可能だ」


な、なんという想定外。


「酢竹が生き残ったのは偶然だろうな、クイラによって酒竹が枯死して酢竹の部分だけが切り離された形になってしまったのだろう、恐らく酢竹は稀に発生する突然変異だったんだろうさ」


そして突然変異が繁殖して今の酢竹になったと。

おおぅ、なんと言う計算外。

折角酒竹が復活すると思ったのに。


「だが方法が無いわけでもない」


「え?」


「要は酢酸菌が入って酢が出来上がる前に酒を作ればいいんだ」


「なるほど」


「とはいえ成長魔法で促成栽培しても酢酸菌も一緒に成長してしまうからなぁ」


そこで頭を抱えるトフポー子爵。


「いえ、それは何とかなると思います」


「本当か!?」


「ええ、知り合いに協力を頼めば何とかなるかと、もし酒竹が完成したらそちらにもお送りしますよ」


「ああ! 是非頼む!」


トフポー子爵との連絡が終わった俺は別の知り合いに頼んである設備の製作を依頼した。

あとはそれが完成するのを待つだけだがその前に実践の必要がある、早速酒の楽園に戻って実験だ。



シエラを伴って再び酒の楽園にやってきた俺達はメランさん達の立会いの元、酒竹を復元する実験を開始した。


「本当に酒竹が蘇るのかい?」


半信半疑で質問してくるメランさん、それをこれから試してみるのですよ。


実験にはまだ小さく若い酢竹を使う、念のため根を親元から切り離しておく。


「では結界をお願いします」


「分かりました」


若い酢竹の周辺を結界魔法で隔離、次に魔法で結界内を消毒して貰う。

結界内を消毒したので酢酸菌はほとんど死滅する、そこで成長魔法を掛けて貰う。

見る見る大きくなる酢竹、ほかの酢竹と同じ大きさになったら魔法を解除して貰う。


「では飲んでみましょうか」


「え? 今ので終わりなのかい?」


「結果は飲んで見れば分かりますよ」


酢竹の節に穴を開けてそこから流れる液体をグラスに移す、全員にいきわたった所で音頭を取る。


「では酒竹復活実験第一号を皆さんで頂きましょう」


グイッと液体を口に含む。その味は……


「ああ、酒だ」


言葉に全員が目を大きく見開く、そして数秒の躊躇いの後恐る恐る口にする。


「……!! これ、お酒です」


「ああ、ホントに酒だ」


「驚いた……」


皆口々に驚きの言葉を発しながら酒を飲みだす。


「結構辛目の味だな」


「軽く冷やした方が美味いかな、おい、ちょっと冷やしてくれよ」


「あいよ、エアクーラー」


「魚焼けたよー」


「オレにもくれー」


「焼き魚と合うなぁ、米くれ米」


「晩餐になってるぞお前」


「美味けりゃいいんだよ」


「そりゃそうだ」


皆口々に酒を楽しんでいる、そこに嬉しそうな顔をしたメランさんがやって来る。


「よくこの短期間で酢竹の謎を解明出来たね」


メランさんが手放しで賞賛してくれる、悪い気分ではないな。


「優秀な知り合いが多いもので」


「人脈も力だよ、やはり君は素晴らしい、これからも我々と共に失われた酒を蘇らせていこうじゃないか!!」


興奮したメランさんが俺の手をつかんでブンブンと振りながら勧誘してくる。


「ああ、申し訳ないんですがその話はお断りします」


「な!何故だい!?」


心底驚いた表情で聞き返してくるメランさん。


「俺は国に仕える貴族ですし、酒造魔法での商いは気楽にやって行きたいので組織に属するのは遠慮させて貰います」


「……そうか、残念だが強制するつもりは無い、ここは大人しく諦めるとするよ」


「でもまぁ、困った事があったら相談してください、無理の無い範囲でしたら協力しますから……友人として」


「……っ、ありがとうアーク君!!」


その後酒竹が復活した事で再び宴会が始まり、酒の楽園中の人間が集まっての大宴会となった。


「ギャオギャオガオー」


「モケケケー、ピロロロロロ」


「■■■■■■■■■■■■■ ■■ ■ 」


……人間以外の酒好きも集まっての大宴会だった。



二週間後


「完成したな」


「ああ」


俺はシエラと一緒に目の前の建築物を眺めていた。

それは一言で言うと温室だ。

コレは知り合いの魔法建築家に頼んで造って貰った特別な温室で、内部の温度管理、水撒き、そして殺菌処理が行なえる仕様になっている。

中々にお高い買い物だったがこれから売る物の利益で十分元は取れるだろう。


「早速植えるとするか」


俺達は酒の楽園で譲って貰った若い酢竹を温室に植え殺菌処理を行なう、そして雇った魔法使いに成長魔法を掛けて貰う、俺もシエラも成長魔法は使えないのだ。


「じゃあ試飲と行くか」


「ああ」


その後無事酒が出来た事を確認した俺は、更に成長魔法を掛けて貰って温室に酒竹の竹林を完成させた。

出来あがった酒の一部はお礼の手紙を添えてトフポー子爵とカヌレ騎士爵の元に送る。


後にこの酒竹はバンブーフレイムと言う名でわが街の名産なるのだった。

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