第1章 第2話 戦場にて

◇徐州城・郊外草原


劉備

「いや~、イイ風だ。昼寝には最適だ。」


心地いい日差しとそよ風を浴びて劉備は横になっていた。


劉備

「孫乾も麋竺も俺にばっかり仕事振り過ぎなんだよ…。雲長とか他のに振ってくれよな…。」


劉備はそう言って間もなく寝息を付いていた。



……数刻後。


いくらか陽も傾いた時のことであった。

劉備は風のざわめきとは違うざわつきを感じて身を起こした。

伸びきった雑草から頭を出した。


自分を中心とし遠く離れて左右に人混みが出来ていた。

人を見るに年齢はそう高くない、むしろ若いくらいだった。


劉備

「少年兵の訓練?いや、そんなものは命じた覚えがない。」


…そもそも、現時点での徐州にはそこまで必要には迫られていない。


劉備は逃げる準備をしつつも様子を伺った。



◇草原、劉備から離れた所


他の若者よりは、身なりのよい者が数人話し合っていた。


「甘琳、今回の作戦は??」


甘琳

「蘇凌、貴方は私と主攻25を率いて正面から仕掛けましょう、太史衛は10率いて裏手から攻めましょう。彪淵は精鋭5で奇襲をかけましょう。先の2手がかき回したあとに手薄な箇所から侵入して敵の大将を倒してください。」


なんと、作戦指揮をしていたのは女であった。

胸当てだけを簡単に装着してこの周りの地形を模した簡単な図で周りにいる者に話を初めた。


蘇凌

「おう!了解した。」

蘇凌と呼ばれた男はこの物語の主人公である。

曹操の徐州襲来の際に今の牧である劉備のおかげで村や命を救われて以来、

憧れ敬服し、いつの日にか兵士として仕官することを夢見ていた。

彼らはその日を夢見る過程として村で兵役前の者たちを集めて少年兵で

自警団を組織していた。


太史衛

「存分に引っ掻き回そう。」


彪淵

「俺の獲物も残しておけよ!」


蘇凌に続いて2人の若者が言葉を返した。

太史衛と彪淵である。

太史衛は少年兵らしからぬ厳めしい鎧を纏い手作りの棍棒を持っている。

口数少なく力自慢の様に見える。

彪淵は比較的軽装であった。こちらもお手製の木槍を携えて戦いは今かとうずうずしているようだ。武芸に自信があるようだ。


甘琳

「よーし、それじゃあ今年も隣村に負けずにボッコボコにしてやるわよ!!」


みんな

「「おぉー!!」」


蘇凌

「今年も俺たちが指揮権を貰うぞー!!」


みんな

「「「おぉー!!!」」」



劉備

「隣村…?指揮権…?」


劉備の頭の上には?が浮かんだ。

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