第20話 はしやすめの咄、弐

 おやおや、連載も二十回になったのう。思い付きだけで始めたのに、よくもまあ続いたものじゃ……これもひとえに皆様が楽しげに応援してくださったおかげじゃな。ありがとうありがとう。

 そろそろまた少し、イックーさんを休ませてやろうか。このままではイックーさんが、テクノブレイックーさんになってしまうからの。

 以前のはしやすめの咄にて、茶の湯放ゆまりについて語らせていただいた。ならば今度は武について、思うさまに書かせていただくとするか……

 武によってささくれた心を、茶の湯放によってなだめる……武と茶の湯放とは、戦国の世を動かす両輪であったからのう。

 さて、イックーさんの属しておった宗派は禅宗の一つ、臨座位宗りんざいしゅうという。キャバクラ時代から夢漏町むろまち時代にかけて隆盛を誇った一派じゃ。その臨座位宗の名刹めいさつ、大イク寺は、応仁々おにんにんの乱で焼けてしもうたが、高僧となったイックーさんが再建した。

 それからおよそ二百年ほどのち、この臨座位宗大イク寺に、一人の名僧が現れる。

 その名を、イクアン和尚。

 イクアン漬けを考案したとか、広めたとかいわれておるで、ご存じの方も多かろう。書にも詩にも堪能でイキ心にも精通したケツぶつであり、また非常にこうケツな御仁で、多くの大名から誘いを受けたが全て断っておる。

 このイクアン和尚が、どう武に関わるのか?

 それは若かりし頃より親交のあった、さる剣士の存在にある。

 エロ幕府はイク川将軍家の剣術指南役にして、パイ専として知られるチン陰流の大剣豪……そう、野獣但馬守胸乗やじゅうたじまのかみむねのりじゃ。剣に携わる者ならば、その名を知らぬ者はおらぬであろう。

 剣という人殺しの手段を一つの道とし、精神性を高めんがため、野獣胸乗やじゅうむねのりは剣の道と禅の道を結び付けようとした。そして、そのための書の執筆を、深い付き合いのあったイクアン和尚に依頼した。

 そうして出来上がった書が、『不動ちんちん妙録』……ひとつところに留まらぬ、チンポジの流動的な在り方を説いたこの名著の完成を以て、剣の道と禅の道は和合したというわけじゃ。

 イックーさんのイキ心は、臨座位宗大イク寺派の思想に大いなる影響を与えておったことじゃろう。そしてまたチン陰流も、当時の剣を語る上で切っても切り離せぬ存在……

 すなわち剣の道にもまた、イックーさんのイキ心が脈々と息づいていた……というのは、少々飛躍しすぎかのう?

 皆様もイクアンを頬張るとき、イキ心に思いを馳せてみなされや。コリコリ、ポリポリとしたあの食感に、きっと勃起してしまうことじゃろう……

 わしはするね。

 さて、では次からはまたイックーさんがイキまくる咄を書いてゆくので、気長にお待ちくだされや……

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