300回を迎えて ~作品の価値と評判~

こんにちは、埴輪です!


今回でこの「近況ノート」の連載が「300回」を迎えました!

……よくもまぁ、これほど続いたものです!


誰に強制されている訳でもなく、いつめるのも私の自由なのですが、これまで続けてこられたのは、もちろん読者の皆様のお陰です!


ありがとうございます!


何か一つでも皆様のお役に立てたなら、これ以上の喜びはありません!


――でもって。


カクヨムの一周年も迫ってきたことですし、近況ノートの今後について少々。

これだけ連載を続けていると、スクロールするのも一苦労で、読者の皆様におかれましては、大変なご不便をおかけしていることと思います。


こうなると、「いつまで続けるの?」ということを、意識しないわけにもいきせん。

私はこの近況ノートを書き始めた当初……


①プロデビューする

②カクヨムのサービスが終了する


……このいずれかまでは、連載を続けようと思っていました。


①は「終わりよければ全てよし」……ということで、プロデビューという終わりがあれば、そこに至るまでの赤裸々な記録には、「価値」が生まれるのではないかと。


②に関しても、カクヨムの終始を見届けた記録には、それなりの「価値」が生まれるのではないかと、そんな目論見がありました。


……逆に言えば、そうでなければ「価値がない」と思っていたということです。


そこには「無名作家の日常なんて誰も興味がないだろう」という思いもあったのですが、それでも書こうと思ったのは、価値のないもの……誰も見向きしなかったもの……に、価値が生まれる瞬間……要は「盛大な手の平返しを見届けたい」という、歪んだ欲求があったからだと思います。


そんな欲求の根底には、物事……なんて誤魔化した言い方を止めてはっきりと言えば、小説の価値は作品そのものではなく、「評判」によって規定されているという、出版業界に対する不信感があったように思います。


つまり、出版社は「面白い小説を世に広める」以前に「商売」をその本懐とし、求めているのは「売れる小説」=「商品」であり、それを売るために「面白い」と「読者」=「消費者」に宣伝しているのではないかと、私は感じていたのです。


これは「商品を消費者に売る」=「商売」では当たり前ことで、自社の商品を

わざわざ「悪い」と宣伝する会社などあるはずもありません。


「良いものが売れる」ということはだと思いますが、「良いと思われたものが売れる」という方が、よりに近いのではないかとも思います。

なぜなら、それが本当に良いものかを自分で判断するためには、商品を実際に購入し、試してみるより他にないからです。

そして、「良い」と判断する基準となるのは、会社の宣伝(商品情報)であり、他の消費者の評価……「評判」なのだと思います。


もちろん、出版社がいくら「面白い」と宣伝したところで、読者から「面白くない」と評価されることもあると思います。

ただ、小説が「効果に個人差がある商品」である以上、「面白くない」という理由では返品することもできず、誇大広告だと訴えることもできず、例え「面白くない」と声を上げたところで、「面白い」という読者が一定数いる限りその評判が覆ることはなく、せいぜい「読者の評価が分かれる作品」となるぐらいです。


また、思うように売れなかったとしても、そんなことは商売ではよくある話で、そのリスクを想定していないはずもなく、それを教訓にして新たな商品を発売すれば良いだけの話です。(売れなかった商品は、ただ消えていくのみです)


……話は大きく逸れましたが、作品の価値が評判次第なら、プロデビューというこれ以上ない評判を得ることができれば、その内容が同じままでも、近況ノートは価値を得るであろうというのが私の考えであり、カクヨムの終始を見届ける云々というのは、それが達成できなかった時の腹いせだったのだろうと思います。


ただ、この約一年に渡る執筆生活により、私の考えは大きく変わりました。


というのも、この近況のノートは私が思っていたよりもずっと多くの方に読まれ、評価され、応援を頂いており、これは本当に大きな驚きであり、喜びでした!


――そう、「価値はあった」のです。


作品の価値は評判ではなく作品そのものにある……そんな当たり前のことを、私は思い出すことができたように思います。

作品の価値を認め、評価してくれる読者の存在こそ、作品の「正当な評判」へと繋がっていく……そうした「流れ」を、垣間見ることができたのではないかと。


要は小説を取り巻くサイクルの中で、主導権イニシアチブを握っているのは作者ではなく、出版社でもなく、読者であることを実感した私は、読者が一人でもいる限り、この近況ノートを書き続けていきたいと思います!


……とはいえ、①と②が終わりのタイミングとしては妥当であることは変わらないと思いますので、いずれかの日がくるまでは、今後もゆるゆると連載を続けていきたいと思っており、毎回のスクロールは大変だと思いますが、今後もこの「埴輪の近況ノート」をご愛顧頂きますよう、お願い申し上げます!

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