作品の価値と付加価値

こんばんは、埴輪です!


某絵本作家が自身の作品(2千円)をネットで無料公開したことが話題になっているとかいないとか。


今回はその賛否について書きたいわけではなく、逆にネットで無料公開されているものが書籍化される小説事情について考えてみました!


そもそも、なぜネットで無料公開されている作品を書籍化するのかと言えば……それはもう、売れるからに他なりませんが、ではなぜ売れるのかと言えば……


①お店で買うことができるから。

②完全版だから。

③本で読みたい人がいるから。


……色々な理由が考えられますが、注目すべきはそれらは全て「付加価値」であるということだと思います。

つまり、「ネットより本の方が読みやすい、手に取りやすい」ということはあっても、「ネットより本の方が面白い」とはならないということです。(加筆修正や追加エピソードといった類も、「付加価値」の範疇ではないかと)


また、ネットで無料公開……とはいうものの、そもそもネットの使用料を考えるば完全に無料であるはずもなく、また作品を閲覧するにはスマホやパソコンも必要で、それらもまた無料ではありません。

そう考えると、「無料っぽい」ということが、Web小説の「付加価値」なのだろうとも思います。(厳密に言えば、ネット環境がある人にとっては無料)


――ネットで無料公開されている作品と、書籍化された作品。


作品の価値を内容……面白さとするならば、どちらも価値は同じであり、異なるのは「付加価値」だけであると考えるなら、そのどちらを選ぶかは読者の手に委ねられており、選択肢が増えるということは、読者のメリットであると思います。


これだけなら問題が起きようもないのですが、無料・有料で何が問題になっていくるかといえば……それはもちろん、「お金」です。


作家にとって、作品を読者に売ることで収入を得て、新作の執筆活動に専念する……というサイクルは、とても望ましいものです。

そして、そのサイクルの仲立ちとなっているのが出版社であり、それを大規模に行うことによって、利益を上げているわけです。


……ただ、私自身、作家という意識で生活するようになって思うことは、作家は作品を売りたいわけではなく、読者に読んで欲しいと思っているということです。

そして現在、小説投稿サイトという場を利用することで、出版社という仲立ちを必要とすることなく、上記のサイクルを成立させることが可能になっています。


もちろん、これでは収入を得ることができませんし、それを兼業でカバーした場合は、執筆活動に専念することも難しくなります。

……ただ、なぜ執筆活動に専念しなければならないかといえば、締切が存在しているからで、その点、小投投稿は自分の好きなタイミングで投稿できますので、仕事をしながらの執筆活動は十分可能です。(プロデビュー後に兼業を続ける場合は、また話が違ってくると思いますが……!)


極端な話、作家というものを成立させるために出版社という仲立ちはもはや必要ない時代になっているのですが、そうはさせまいと躍起になっている……というのが現状ではないかと思います。


そうなると、KADOKAWAが「カクヨム」のような小説投稿サイトを運営するのは自殺行為のように思えますし、その側面もあるとは思いますが、そこを「売れる作品(及び、それを書ける作家)を探すための場」とみれば、デメリットを補って余りあるメリットがあるのだろうと思います。


面白いから売れる。

売れるから面白い。


前者の方がもちろん理想ですが、すれすらも後者のふるい……これなら売れそう……にかけられていることに違いはありません。

もちろん、そうやって選ばれた作品が面白くないと断言するつもりはありませんが、選ばれなかった作品が面白くないとも言い切れないわけで……つまり、明確な基準が存在しない中、利益という分かりやすい基準を参考にしたくなる気持ちも分からなくもありませんが、それでも、それを基準にしていては、本当に面白い作品を世に出すことはできないのではないか……そんなことを思います。


……何だか良く分からない感じになってきましたが、作家が作品を投稿し、それを読者が楽しむというサイクルが小説投稿サイト上で成立している以上、そこで人気のある作品を書籍化することで利益を得るのは野暮ではないか……そんなこと思ったり。


もちろん、作家にとって書籍化とプロデビューは夢ですが、そうするとお金の問題とは切っても切れない関係になってしまうと考えると……悩ましい!


本日の結論としては、お金が絡むとろくなことにならない……これに尽きます!

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