破死竜

 私は、空が好きだ。


 都会のビルの隙間から、不釣合いなほど真っ青な空を見上げるのが殊更好きだ。

 たとえ私が死んでしまったとしても、きっと空はそのままあり続けるだろう、そのことは分かっているのに、不思議と哀しくはないのだ。

 空が、私の生まれる前からそこにあったからだろうか?


 私は、空を見上げるときは、他の人間の目を意識しない。

 一緒に見上げる、という共感はないし、見上げているところを見られる、という感傷もない。

 ヒトごときがどうしようと、空は空だ。何も気にしない、気にしてもくれない。


 私が死ぬとしたら、死体は地べたにぶちまけられようとも、魂だけは天に、空へと昇って行きたいと思う。

 自由になる、とは多分そういうことだ。

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破死竜 @hashiryu

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