クリスマスに俺の得意料理を

 十二月の最初の日曜日、彼女とドライブデートしていた時だった。

 ふと俺の得意料理の事を話したら、ぜひ食べに行きたいって。

 小洒落たもんじゃないって言ったけど、それでもいいって。

 じゃあいつがいいと聞いたらクリスマスが日曜日だから、その日がいいって。

 

 彼女が家に来るなんて。しかもクリスマスにだなんて。

 もう嬉しくて仕方ないよ。

 ようし、絶対美味いって言わせてやる。

 そして……ふふふ。




 約束の日、クリスマス。

 昨夜から気合い入れて仕込んで、気がついたらもう朝だった。

 うん。夕方には食べ頃だろな。

 さて、少し寝よう。

 



「ごちそうさまでした」

 手を合わせて満面の笑みを浮かべている彼女。

 どうやら口に合ったようだ。

「この煮物って最初は不思議な味だったけど、食べていくうちに美味しさが増してくって感じだったよ」

 ちゃぶ台の上にある鍋を見ながら言う彼女。

「これは我が家秘伝の万能タレを使ってるんだけど、皆そう言うよ。でもさ、クリスマスにこんなのでよかったの?」

「いいの。英治くんが作ってくれたってことに意味があるんだからね」

「よかった。ありがと」


「いえいえ。ところでこのタレ、やっぱ作り方秘密?」

「うん、家族以外には教えられないんだ」

「うー、そうなんだ。こんな美味しいのに」


「……だからさ、なってくれないか?」

 俺がそう言うと、彼女はしばらく固まっていたが

「うん!」

 頬を染めて、元気よく頷いてくれた。

「ありがと。じゃあ早速作ろ」 

「え~、それは後……で?」




 お、今日のはまた一段と美味いな。

 やっぱ材料がいいからだろなあ。


 さてと、またいい材料を探しに行くか。

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