下着泥棒とわたし

 もう空は薄暗くなり、冷たい風が吹いている。

 わたしは大きくなったお腹を擦りながら、スーパーからの帰り道を歩いていた。

 うーん。臨月でも軽い運動した方がいいって聞いたけど、これでいいのかなあ?



 家に着いてドアの鍵を……あら、開いてる?

 あの人、今日は遅くなるって言ってたけど、もう帰って来てたの?

 というかちゃんと鍵閉めなさいっていつも言ってるのに。

 ホント昔から危機感ないわね。

 でも、そういうところもあったからだもんね。 

 

 あら、リビングにいないわね?

 じゃあ寝室かな? と思って二階へ上がるとベランダの戸が開いていた。

 洗濯物取り込んでくれてるのね。うふふ。

「おかえりなさ……え?」


 ベランダを覗くと、そこにいたのはダンナじゃなくてハアハア言いながらわたしの下着を盗ろうとしている変態野郎。


 その変態野郎と目が合った時。

 わたしの心はあの頃に戻った。




 気がついた時には変態野郎は床に沈んでいた。

 その顔にわたしの指をめり込ませたまま。

 

 あ、これでちょうどいい運動になったかなあ?


 しかしこいつ、マタニティショーツで興奮するってどれだけ変態なの?

 ま、の家に来たのが運の尽きだったわね。

 

 さて、ダンナが帰って来る前に掃除しましょ。

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