夏祭りの屋台で

 日が暮れてもまだ暑いそんなある日の帰り道、神社の近くを通りかかると沢山の人といくつもの屋台が見えた。


 お、今年は夏祭りやってるんだな。

 ここ数年中止してたからなあ……。

 よし、久しぶりに見て回るか。




 神社にお参りして、さて何か食おうかと思っていると、

「そこの兄ちゃん、たこ焼きいらんかーい!?」

 屋台のおじさんが声をかけてきた。お、いいかも。

「じゃあ、一パックください」

「あいよ!」

 おじさんはいそいそと凧を燃やし始めた。




「またつまらぬものを斬ってしまった」

 俺は刀に付いた赤いものを拭い、気を取り直して他を見る事にした。




 今度は焼き鳥屋があった。

「お、ひとつ買おうかなってこれ、えらく大きいですね?」

 串に刺さってる鶏肉はなんか普通の三倍くらいだった。

「ああ、さっき捕まえたばかりのフクロウみたいなトリをさばいて」




「なんて事をしやがるんだ、このおっさんは」

 俺は青黒くなったモノを放り投げ、トリの冥福を祈った。




 今度はまた珍しいものを見つけた。

「釜飯って屋台でやってるのか?」

 俺がそう言うと、店の人が声をかけてきた。

「あ~ら、いいオトコ」

 それはオカマさんだった。

「……だから釜飯屋?」

「あら、よく見るとあの時の。お久しぶりねえ~」

 オカマさんが嬉しそうに言う。

「あの、失礼ですが前にお会いしてましたっけ?」

「覚えてないの? あのオカマバーで酔ってアタシとちゅーしてくれ」




 俺はオカマさんをたたっ斬った後、口を思いっきり洗った。




 今度はフランクフルトの屋台があったが、なぜかテントのようになっていた。

 下ネタなら即たたっ斬ろうと思い、刀を構えながら覗いた。

「……」

 俺は刀を収め、そっとその場を去った。


 そこでは全裸のおっさんがツナギ服のいい男に襲われていた。

 相手が悪かったな、おっさん。


 


 その後まともだった唐揚げと焼きそば食べ、さあ帰ろうかと思ったらまた屋台ってかテントが目に入った。


「なんだこれ? フムフム、よく当たる占いだと?」

 そんなのある訳ねえだろぶった斬る。

 そう思いながらテントの中に入ると占い師というか、魔女のコスプレしたお胸のおっきな若い女性がいた。


「いらっしゃいませ。あなたは昨夜暑いからって全裸で寝てましたね」

 な!? 当たってる!


「これで信じてくれますか?」

 女性がにっこり微笑んで言う。

「え、ええ。あの、占いって凄いですね」

「いいえ、部屋に設置した隠しカメラで見ていただけですよ。ふふ、小さか」




「さてと、帰るとするか」

 俺は服を着た後、テントを出た。

 後には素っ裸でよだれを垂らし、虚ろな目で寝ている女性がいた。


 誰のが小さいんじゃ、思い知ったか。

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