この列車は行き先を変更しました

 ある日の仕事帰りの事だった。


 時刻は終電間際。

 僕は最寄りの始発駅から電車に乗った。


 先に座っていた疲れた顔してる若い女性、一杯やってたのか上機嫌な年配の男性などを横目に席に座り、スマホでサイトを見ることにした。


 発車して二十分位経ったか、ふと顔をあげ向かいの窓の外を見た。

 

 そこに映っていたのは銀色の砂嵐。

 テレビが映らない時のあれみたいだった。


  これはいったい何だ?


 その時車内放送が聞こえてきた。

「お客様にお知らせします。この列車は行き先を異世界行きに変更しました」


「はぁ!? 」


 そこで意識が途切れた。



 次に気がついた時、窓の外には普通の住宅の灯り。

 もうじき降りる駅に着くところだった。


「夢か。しかしアホな夢見たもんだな。いや、もしかして」

 少し不安になって辺りを見ると


 疲れた顔の口裂け女

 

 赤い顔で寝ているのっぺらぼう


 それを起こそうとしている一つ目小僧の車掌さん。



 うん、やっぱ異世界じゃない。

 普通の世界だわ。



 僕は安心して電車を降り、家路についた。

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