はる*こい

 ゆっくりと。

 雨雲が通り過ぎていきました。


 日射しが戻って来ても、入れ替わった空気は雨を含んで少し重く、冷たい。


 雨粒をまとって、少し首を傾げているのは紫雲英ゲンゲの花冠。


 さっきまで忙しそうに蜜を集めていた蜂も、まだどこかで雨宿りしているようです。


 早く。

 彼が来ないかしら。




『はる*こい』


とおくで はおとが

 きこえて いるね

  はんぶん どきどき

   はんぶん そわそわ

    るすのあいだに こないでね


こいびと ほしいよ

 いつでも おもう

  もじもじ してたら

   よかんで おわるね

    うんめいさがし はじめよう


あしたは はれるね

 でかけて みよう

  やわらか こころに

   かんむり かぶせて

    にっこりえがお ふりまこう




 『ちいさなあくむ』と同じ手法ですが、春らしく、明るく。



【おしまい】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る