不死10

 リベルは自分の存在に疑問を持ち続けると消滅しそうになる、これは新しい情報ですね。殺すのに使えそうな話です。

「あれ?もしこれでリベルが消滅しちゃったら魂はどうなるんですか?消えちゃう?」

「そういやぁ、前に消えたやつおらんかったか?おらんくなったか?」

 いたのかいなくなったのかはどっちでもいいですけど、いなくなってしまったということは、やっぱり魂は回収できなかったんですかね?

「ちょっと待っててくれ、おそらくそれを記録した本があるはずだ、探してみよう」


「見つけた、かつてこの世界から概念もろとも消失した神の記録だ。概念が消失したから消えてしまったのか、彼が消えてしまったから概念が消失してしまったのかはわからないが、確かに記録に残っている」

 どうなったんでしょう。

「「俺の存在はいったい何だったんだ」「もう存在している必要は無いのではないか」等の自己の存在を否定する言葉を数個吐きながらぼやけ始め、言葉にならない音を発し続け最後には音もなく消失したそうだ。だいたい自己否定を始めてから十八時間経て消失している、魂は大気に溶け、周囲の生物に取り込まれたようだ、冥界に行ったりはしていないね」

 確か、砕かれた魂とかも同じように空気に溶けて、周りの生物に取り込まれるんでしたっけ、消失した神族の魂は砕かれた魂と同じか……、魂を回収することはできないと。

「まぁいいです、リベル殺すの最優先ってことで。リベル、もう一回、考え込んで消えちゃってくださいよ」

「そんなこと言われても、うっかり考え込んでしまっただけだし、考え込もうと思っても簡単には考え込めないよ」

「そうですか、では、隙あらば考え込むような感じでお願いしますね」

「できたらね」

 結局やれない感じのやつですよそれ。

「まぁ、今日のところは「リベルは自分の存在に疑問を持って考え続けると死ぬ」っていうことを戦利品として帰りますか、ここに長居すると現世との時間の差が大きくなりすぎてしまいますし」

 この図書館の中の時間は外の八千七百四十倍の速度で流れていますからね。

「そういえば、さっきは何時間ぐらい考え込んでいたんですか?」

 トラトのところにいた間は時間の流れに差があったはずですからね。

「時間はまったく気にしていなかったからわからないな」

「おおよそ、一年半です、と僕はテロリカと一番目の僕へ言った」

 やってきたリベルティが言う。

 一年半考えても消滅しないってことは、この方法でリベルが消滅することはなさそうですね。

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