不死9
アクシーさんの件は何とかなったし、私はトラトに用事があるわけでもないし、そろそろリベルも納得しているだろう頃なので、リベルの図書館に戻ります。帰りはトラトがついてきたからか、何にもない白い空間には遭遇せず、煉瓦の街が直接森につながっていました。
「天界っていろいろ無茶苦茶過ぎませんか?」
「現世育ちやとそう感じるだけやろ。わかりづらいけど、ちゃーんとルールも法則もあるでな?」
神族にとってはそうかもしれませんけど、迷い込んだだけに近い、私やアクシーさんはかなり滅茶苦茶だと思ってますよ。街と森の境界なんて、建物が途中で途切れて木になったりとか、あり得ない光景になってましたからね。
「図書館はいるん、久々やなぁ」
「あ、トラトも来るんですか」
「あったりまえやろぉ、なんのためについてきたと思ってるん?」
「白い空間を埋めてくれるためかと」
「そんなことのためにわざわざ来るかいな!うちも、ちょっちリベルをぶっ殺してやりたくなってな、あんな面倒な契約作りよって、解除するのめっちゃ大変やったんやで?」
契約自体を作ったのはリベルじゃないと思うけど、まぁ、神族であるトラトがリベルを殺す気になっているというのは非常に助かるので、黙っていよう。殺す気のある人が多いのはいいことです。やれることも増えるし、別に私の手で殺せなくても魂を回収できればそれでいいし。
図書館の前に着きましたけど、扉、壊れたままなんですよね。直さないのだろうか。ゴーレムに任せればすぐだと思うんですけど、司書ゴーレムの役割ではないのだろうか。たぶん、図書館を拡張したりする工事担当の「何か」もいたりするのだろう。見たことないからどんなのかは全然わからないけど。それもゴーレムなのかな?
再び、ゴーレムの後について、謎の近道を通り、リベルのところに戻ってきました。何やら、リベル変じゃないですか?少しぼやけてるような?
「大丈夫ですか?リベル」
少し不安になって、肩を叩きながら声をかけてしまった後に後悔する。なんかリベルが不安定になっているならばそのまま放っておけば、死んだりしたかもしれないのに。
「ああ、テロリカか。今、自分の存在意義がわからなくなっててね、なんだかそのまま消えそうになってたから、そのまま考えてたんだ。声を掛けられたときに考えが霧散霧消してしまったけどね」
それは放っておくべきでしたね。失敗って感じ。
「今の、なかったことにできないですかね?」
救済の悪魔のアクシーさんに聞いてみる。アクシーさんの能力は死んだのをなかったことをすることもありますが、実際は失敗をなかったことにしてくれる能力ですし。
「契約してないから無理ねぇ」
それは残念ですね。
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