不死6
暇になってしまったので、少し図書館を探検してみることにします。大丈夫、迷子にはならないですよ。司書のゴーレムを一体貸してもらったので、この場所に戻ることはできるはずです。
少し歩いただけなのに、ものすごい迷路って感じがあります。前に来たとき、入り口の近くは結構整然と、規則正しく並んでいたのですが、奥の方はもう世界が違いますね。階段を上っていたと思ったら降りていたり、本棚が突然横向きになったと思ったら私自身が横向きになっていたり、上を見上げたら同じようにこちらを見上げている私が見えたりとか、空間として、何かがおかしくなっていました。無限に拡張されていく過程で空間の神の協力の元、狭いところを無理矢理に広げた結果そうなったとリベルは語る。
「こんなの、迷わない方が難しいですよねぇ」
「そうねぇ、ここどこかしら?」
「!?」
独り言にかぶせるようにして現れたのはアクシーさんでした。久々って感じです。
「なんでこんなところにいるんです?」
「いつものようにリベル死んで無いかな?って思って、来てみたらリベルがなんかブツブツ呟いてて怖かったから、少し散歩をね」
「そうなんですか」こんな広い図書館でよく遭遇できましたね。そんな偶然、そうそうありませんよ。
「あ、そういえばアクシーさん、契約の神族の人と知り合いになったんですけど、もしかしたら悪魔の契約も完璧に解除できるかもしれないですよ」
「本当!?」
「頼みに行ってみますか?」
「もちろん!」
司書ゴーレムにトラトのところまで案内できるか聞いてみたところ、できるようです。図書館の外まで案内してもらえるとは思いませんでしたね。とても便利です。
しばらく、図書館の中を進み、数分で図書館の出口まで到着しました。一体全体どうなっているのか。この図書館は相当な広さだったはずで、さっきまでかなり奥の方にいたと思っていたのですが、近道でもあるんですかね?
天界の、図書館の外に来るのは初めて来たとき以来ですが、あの時は図書館の大きさに驚いていてあんまり風景は見られなかったんですよね。天界って、物語に出てくるときは雲の上とかそういう感じだったのですが、実際は現世とあまり変わらないように見えます。図書館の周囲は森になっていて、石畳が森の向こうまで伸びているようです。
「天界の風景ってこんな風になってるのね」
「アクシーさんは初めてですか?私も初めてです」
「なんで最初、私はベテランですけどみたいな言い方したのよ」
「なんとなくですね」
なんとなく、アクシーさんにはそういう態度をとってしまいがちなんですよね。
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