不死7
ゴーレムについて、森を抜けると何もない空間、文字通り何もない、地面も、空も、何も、真っ白の空間だ。森を抜けたところできれいさっぱり何もない空間につながっていた。
ゴーレムはその何もない空間を歩いて進んでいくが、私達はそうもいかない。恐る恐る足を踏み出してみたら、見えない足場のような物を何とか見つけた。足場のような物を踏んでも、踏んでいる感覚は全くないし、落下しないからそこに足場のようなものがあるとわかるだけだ。滅茶苦茶怖い。
「アクシーさんは飛んでるから楽でいいですよね」
「ここ、なんか飛べないんだけど、肩につかまらせてもらってもいいかしら?」
滅茶苦茶声震えてますよ。
「ちょっと、司書さん!待ってください、ここ、どうなってるんですか!」
司書ゴーレムは立ち止まってこっちを振り向いて少し困った顔をしてくる。口はあるが喋ることはできないようだ。
しばらく考えごとをしているように揺ら揺らしていた司書ゴーレムはひらめいたかの世に体をビビッと震わせ、にゅにゅーっと手を伸ばしてきた。掴まれということでしょうか。
掴まってみると今までは何もなかった空間に足場が見えるようになりました。その代りに背後にあったはずの森は消え、周囲も真っ黒になって、足場だけが白く浮かび上がっていました。
「え、何ですこれ」
アクシーさんの方を向いてみると、アクシーさんは何やら白い塊になっていました。
「テロリカ、あんた白い塊みたいになってるけど」
「アクシーさんもですよ?」
よくわからない世界になってしまいましたが、道は見えるようになったので、良しとしますか。
私達が狼狽えている間にも司書ゴーレムは腕を延ばしながら進んで行ってしまう。
小走りで追いかけて、暫く進むと司書ゴーレムが手を放した。
景色はまた、白い空間に戻るが、目の前には煉瓦作りの綺麗な街並みが広がっていた。しっかり整備された道が途中で寸断されて、白い空間に繋がっている様は些か奇妙な感じです。森の中の道が突然消えているよりも不思議ですね。
街中を進んでいき、一つのドアの前で立ち止まる。そこは周囲に背の高い建物が並ぶ中、建物と建物の隙間に設置してあるドアだ。
「ここにトラトがいるんですか?」
司書ゴーレムはうなずき(首が無いのでお辞儀みたいになっているが)、ドアを開ける。その先は下りの階段になっており、下の方は良く見えない。
階段を降りた先にも扉があり、司書ゴーレムはノックしてから開く。
「よーきたなー、まっとったで?」
扉の先から歓迎の言葉を投げかけて来たのは、どう見ても体格に合ってない大きな机とその向こうの大きな椅子に体を沈めているトラトだった。
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