不死5
とりあえず全部送ってしまって、暇になってしまった。リベルはどうかと目を向けると、研究書の機密防止に仕掛けられたであろう罠にかかってリベルが炎の包まれているのをゴーレムが頑張って叩いて消火していた。
「燃えやすい本という形式に燃える罠を仕掛けるなんて、この研究書を書いた研究者は研究のし過ぎで常識的な判断力が鈍くなっているのかもしれない」
「普通は自分は燃えないように開くからいいんじゃないですか。あと、盗まれた時に本ごと燃やす為とか」
「そうか、そうだな。そもそも本をわざと燃やすという発想がなかった」
書物の神ですからね。
「そして、肝心の研究書は燃えてしまったわけだが、僕の手にかかれば、ほら」
リベルの手には消し炭になっていたはずの研究書が閉じた状態で乗っていた。
「でもそれ、また開いたら燃えちゃうんじゃないですか?」
「この研究書は後回しにしようか」
リベルが担当した、危険極まりない研究書や魔導書の山はこんな感じで殆ど進んでいない。大抵どの本を開いてもリベルが死んで、本自体が読めなくなるのだ。
「何を恐れてここまで読ませない研究書を書いたんだ……。全く意味不明だ。本は読まれてこそだろうに」
書物の神としてのこだわりがあるのだろうが、大体研究書は読ませるために書くものではないのだろう。
「リベルが作ってる歴史書って誰が読んでるんですか?」
「誰も?」
「じゃあ何で作ってるんですか?」
「僕が書物の神だからだよ」
「じゃあ、読まれない書物に関してとやかく言うのおかしくないですか?」
「そうなのかもしれない。書物の神だから歴史書を作り、書物の複製を保存する。当たり前のことだと思っていたけど、そうでもないのか?」
「あの、リベル?」
「いやしかし、人間と違い、元々の行動に目的を定められている神族なのだから、それに従うのは当然なのではないだろうか……?」
しまった、リベルが考え込んでしまってこちらの問いかけを無視する状態になってしまった。今までにはこういうことはなかったが、見た感じ暫くはずっと無視し続けられるだろう。面倒な状態になってしまった。
私の担当した分は全て冥界に送ってしまったし、リベルはあの様子である。暇になってしまった。
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