11話:大図書館

大図書館1

 トラトの案内で私とファボスは天界のリベルの城の目の前に来ました。実際は城というより図書館らしいのですが、外観はどこを見ても壁です、しかも、壁の果ては横も上も見えません。どうなっているんでしょう。

「ここが書物の神の城「ビブリオテーカ」や。まぁ、図書館やな。閲覧は自由って話やから、別にこの門も開いてるんやないか?」

「この門、押して動くんですか?」

 目の前には壁と大差ないように見える、大きすぎる門があります。動くものなのこれ……。

「どれ」

 ファボスが軽く、に見える感じで押すと門は開かず、ズゥウンと大きな音を立てて中に倒れた。

「開いたな、少々立て付けが悪くなっていたみたいだが」

「これは開いたんじゃなくて、壊れたって言うんですよ」

「同じだろう?」

「違いますよ」

「まぁ開いたことには変わりはないだろ。中へ入るぞ」

 そう言ってファボスはズンズンと中へ進んでいきました。

 私もファボスのやることをいちいち気にしていてはいけませんね、行きましょうか。

 城の中は図書館、いえ、大図書館という雰囲気で、本棚は高く、ぎっしりと本が詰め込まれていました。これ全部、この世界の歴史書なんですね。見える範囲だけで、何万冊という本が並んでいますね。

 図書館の中は埃っぽいイメージだったんですが、埃っぽさは全くないです。ただ、光源は所々に浮いている、水晶のようなものがぼんやりと光っているだけで、薄暗い感じですね。

 しばらく歩き回ってますが、景色が全く変わりません。本棚はずっと同じように並んでいますし、本棚に並んでいる本は背表紙に書いてある年号以外、全部同じデザインなのでどうやって進んできたのかも少し曖昧になってきました。

 簡単に言うと、迷いました。

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