9話:原初神族

原初神族1


「今は「僕が原初神族だ」ということは置いておこう。まず先に、原初神族とは何かということを詳しく話した方がわかりやすいしね。ここまでで何か質問は?」

 正直な話、ほとんどわからないんですけど、

「原初神族は概念と結び付けられてるってところがよくわからないんですけど」

「そやなぁ、うちら神族が概念の管理を任されてるってことは知っとるんやけど、うちらは概念と結び付けられてないんか?」

 神族が概念の管理をしているってことも私は知らないんですけど。

「そうだね、今では原初神族は僕しか残っていないから、概念の管理は神族の仕事だ。だけど、今の神族は直接的には概念と結び付けられてはいない。原初神族が生み出した上級神族の魂を介して概念に接続しているに過ぎないんだ」

 概念に接続するってなんなんです?全く話が分からないんですけど。

「なるほんなぁ、直接は結びついてへんけど、先代経由でつながってるんやなぁ」

「うん、今いる上級神族が死ぬときに、神族の誰かへ概念に結び付きを継承して、上級神族を引き継ぐと思うよ」

 上級神族の引継ぎ?上級神族って引き継ぐものなんですか?

「ちょっと、待ってください?今、二人が話している内容が、私にはまったく、これっぽっちもわからないんですけど?」

「なんや、嬢ちゃん不勉強やで?」

「で、どこからわからなかったんだい?」

「最初からですよ、神話の話からです。私が知ってる神話は、神様が何もなかった世界に、概念というものを生み出し、概念に沿うように世界には物が生まれたってこと、そして、概念を管理するように神族を生み出したっていうお話です。神族がいるから世界は今のこの姿を保つことができている、というふうに聞いてます」

「だいたいあっているよ。その神話に語られている神族が僕ら原初神族で、人間たちの間では語られていない続きがあるんだ、元々原初神族は死ぬことはなかった、実際は生きているわけでもなかったんだと思う。生命じゃなかったんだ。だけど、ある日、生命という概念と結び付けられた一人の原初神族が、「我々も生命を得るべきだ、彼ら、生きる者のように、命を輝かせ、燃え尽きるように死のう」って言いだしたんだ。そして、生命の概念をいじり、原初神族を生命にしてしまったんだ」

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