勝負8

 とりあえず、手とか切ったりしたら嫌ですし、包丁は触らないようにしましょう。で、この勝負のルールには、審査員が早く食べ終えた方が勝ちとあります。つまり早く食べられるものが有利、そういうことですね。

 そして、包丁を使わずに作れそうで、早く食べられる料理のイメージで考えると、私が作るべき料理はスープです。しかし、スープってどうやって作るんでしょう?とりあえず液体が材料だとは思うんですけど、この、酢とか醤油とか、適当に混ぜて煮込んでみましょう。それっぽいですね、大変それっぽいです。

 いろいろ混ぜたらおいしくなる気がするので、他にもあった、油と、ソース、あとこのホットソースってのも入れてみます。

 しばらく火にかけながらぐるぐるとかき混ぜていると、なんだか怪しい匂いがしてきました。審査員の人には悪いんですけど、これ、ダメな奴かもしれない。

 とりあえず、調味料です。調味って名前についてるんだから味を調えてくれるはずですね。たくさん入れておきましょう。


 なんとか、スープが完成しました。これで私の料理は終了。リベルも料理を終えたようです。

「さぁて二人の調理がおわったみたいやな?美味しそうなええ匂いと、なんかよーわからん匂いが混じり合ってえらいことになっとるけども、今から審査員の紹介をするで!」

 審査員の人はこれを飲まなければならないのかと思うと、ものすごーい申し訳ない気持ちになる。

「審査員は、リベルとテロリカちゃん自身や!」

 審査員は私たちってどういう。

「二人には、相手が作った料理をお互いに食べてもらって、相手の料理をより長い時間をかけて食べきった方の勝利!ってことやな」

 なるほど、できるだけ相手の料理を時間をかけて食べればいいんですね。

「さぁて、実食の前に、料理の紹介をするで。まずはリベルの方からな」

 おいしそうな料理をよりおいしそうにトラトが紹介する。私は今からそれを時間をかけて食べなければならないというのに、とってもおいしそうだ。一口目の次にすぐ二口目を口に運ぶことを我慢できるだろうか。

「次は、テロリカちゃんの料理を紹介するで。これは、異様な匂いがするけどスープか?」

「スープです。それ以上のことは聞かないでください」

  少なくとも私は飲みたくないです。

「テロリカちゃんの料理はよくわからんスープやね。よくわからん匂いが漂っとるで」

 私もよくわかりません。リベルがこれを食べることを諦めたら食べ終わった扱いになったりしないでしょうか。そうしたら私の勝ちになると思うんですけど。

 

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