破壊神きたりて6

 ものすごい爆音、まだアイギス・レプリカは耐えていてくれているようで、衝撃は伝わってこない。周りでは拳がアイギス・レプリカに接触する前に圧迫された空気の爆発が起こっており、衝撃波が発生している。森の木がなぎ倒され、私の家も窓が割れている。これはリベルとの闘いではないため、ファボスの攻撃の余波で周りに被害が出ている。

 今更しまったなと思ってももう遅い。今のところはアイギス・レプリカが、直撃している衝撃を無効化しているようだが、だんだんと重くなっている。これは衝撃を吸収しきれずに、ファボスの拳に押され始めているということだろう。

 このまま、押されていき、アイギス・レプリカが耐えきれなくなったら私は終わりである。

 徐々に、バチバチと怪しい音が聞こえ始める。吸収した衝撃のエネルギーが漏れ出しているようです。つまり、魔術的に吸収することができる衝撃の量は超えているということになる。本来ならば完全に受けきった後に、徐々に放出されるはずの衝撃のエネルギーが薄くなることなく、放出されて行っている、そういうことのようだ。

「……!…………!」

 リベルが何かを言っているがよく聞き取れない。

「…ロリカ!……を上に……!」

 何を上にですって?

「テロリカ!アイギスを上に向けるんだ!」

 やっと聞き取れました、アイギスを上に向ける?アイギス・レプリカを上に向ければいろいろなことが解決するんでしょうか。私も死にたくないし、いうことを聞くしかありません。

 抑えられている拳の下に滑り込むようにアイギス・レプリカを上に向ける、すると、今まではファボスの拳の勢いと釣り合っていたアイギス・レプリカから放出されようとしていたエネルギーが上空に向かって放たれた。

「危なかった、あのまま受け続けていたら溜まったエネルギーが爆発して、この周辺一帯が何もかも木端微塵になるところだった」

「そんな恐ろしい状態だったんですか」

ていうか、普通に死ぬかと思った。破壊神が絶対壊れない盾を壊せるかの実験で盾を持つ役をして死ぬっていう死に方が普通じゃないから、すごい特殊な死に方をするところだった。そういうのはリベルにやってもらいたい。

「うーむ、結局俺ではアイギスを壊せない、か。仕方ない、今日のところは諦めようか。しかしリベル、貴様を殺すことを諦めたわけではないからな。もっと破壊力を上げてまた来るぞ」

直後、ファボスは来た時と同じように地面にクレーターを作るほどの脚力でどこかへとぶっ飛んでいった。

「もしかしてリベル、ファボス以外にもこういう恨み買ってるんじゃないですか?」

「さぁね。僕を殺そうとして失敗した人はごまんといるからね、一度失敗してまた挑戦しに来る人はそんなに多くはないと思うけど」

 きっと、こうしてとんでもない人たちがこれからもリベルを狙ってくるのだろう。それで死んでくれてもいいのだが、できれば、私の手でリベルを殺したいものだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る