不死というもの3


 私も手助けしたいところですが、死神として対象であるリベル以外の生物を殺すことはできません。村の人たちにはお世話になっているというのに。

「今日倒した分以外にもまだいるようだから、テロリカに手伝ってもらいたいことがあるんだ」

「私は戦えませんよ」

「それはわかっているよ、君の持っている道具を貸してもらおうと思ってね」

 なるほど、道具を貸すだけならば私自身が殺しているわけじゃないからいいだろうと、そういうことですか。いいのかなぁ?

「前の死神からも良く借りて使ってたんだよ。今回は蟲型の魔物が多いから火の属性がある武器とか貸してほしい」

 へぇ、蟲型の魔物が多いんですか。蟲?

 確か魔物が強くなる時は何か特別な餌がある時、だったはず。

私は最近、夜にリベルを裏の森に埋めていて、蟲の餌にしてて、リベルの血肉は上質な餌になって…………。

「あ」

「どうしたんだい?テロリカ」

「いえ、何でもないですよ。あと、今日からは夜、うちのリビングのソファーで寝てもいいですよ」

「?」

「そんなことより、火の属性のついた武器ですね」

 適当に資料の中から火の属性が付いていて、蟲に効きそうな武器を見繕う。ゾンビ系の不死者には火が良く効くので火の属性がついた武器は結構充実しています。

 これにしましょう。「イフリートの腕輪」。

「これを腕につけると攻撃した相手が消し炭になるらしいですよ」

耐火装備をしていなければ、自分の腕も消し炭になる可能性があるらしいですけど、リベルなら関係ないですね。

「それ、腕まで炭化しちゃって剣が持ちづらくなるやつでしょ。他のがいいなぁ」

知っていたようだ。他に使用者にダメージがあるタイプの武器はなかっただろうか。

「灼熱の大槌」は永遠に燃え続ける魔石を用いて槌を作ったはいいけど、持ち手に熱が伝わってきて熱くなり持てなくなる槌。

「それも前に使ったことあるよ。燃えてるから周りの木まで燃え始めてえらいことになった」

 燃えているのもダメか。

「火の属性はないですけど、これ使います?普通の生物なら一撃で冥界送りですよ」

 そう言って私が取り出したのは「死神の鎌」。

「それ、借りちゃっていいのかい?」

「いいですよ、鎌の振り方は知ってますか?」

「大丈夫だよ。じゃあ、また魔物が村の方に近づく前に根絶やしにしてくる。運が良ければ死んで来るよ。最後の一匹と相打ちでね」

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