4話:不死というもの
不死というもの1
死神がなぜ不死を殺すのか、それは死なない者が魂の循環を乱すからだそうだ。死んだ魂は他の物に取り込まれたり、生まれ変わりを繰り返しながら、循環していく。しかし不死者は死なないがために、魂の循環はそこで止まり、不死者は魂を蓄積させていく。それが澱みとなり、魂を歪にしていくため、死神は不死者を殺しているらしい。
と、資料の一番最後に書いてあった。ようやく、この分厚い資料を読み終えたのだが、こういう不死者狩りの基礎みたいな知識を一番最後に載せるというのはどういうことだろうか。順序めちゃくちゃじゃないですか。
リベルはといえば、いったいいつから生きている不死者なのかすらわからないほど昔から生きている割には全く魂が歪んでいるようには見えない。食事をしているので、植物や動物の魂を経て魂を取り込んではいるはずなのだが、全くと言っていいほど、魂が歪んでいないようだ。
さっきも言ったように、死神が不死者を殺すのは魂が歪んでしまうのを防ぐためで、生まれついての不死などは関係ない。以前、リベルは不死者のリストに載っていないのは生まれついての不死であるからなどと言っていたが、魂が歪まないというのも理由の一つなのかもしれない、なぜ魂が歪まないのだろうか。
「最近、村の近くの森に魔物が多い?」
「ええ、そうなんですよ。村の住人達、特に森の近くに住んでいる人たちから多くそういう話が持ち込まれましてね、また、リベルさんに討伐してもらおうかと思いまして」
「わかりました、できるだけ早く行ってきますよ」
朝から村長さんが来ていると思ったらそんな話を持ち込まれました。
リベルはよくこうやって村の方から「どうせ死なないんだし」と死の危険性がある依頼事を持ち込まれている。本人としては死の危険があることは死ねる可能性があるということに近いので藁にもすがる思いでこういう依頼を引き受けているみたいだ。まぁ、こういう依頼の最中に死なれても村の人的にはすごい困るんでしょうけどね。
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