悪魔2

「で、その悪魔はなんて?」

「契約してから全然死なないと思ったら、突然一方的に契約を解除しようだなんて、ふざけてるってさ」

 そりゃあ怒るわ。授業で習った悪魔との契約を正式な手順で破棄した場合の面倒なことって、こういうことか。

「あの悪魔、また来たりしない?」

「どうかな、今までも数年に一度ぐらいまだ死なんのかとか言いに来てたけど、契約もなくなったし、もう来ないかもしれないね」

 それだと私が困るんですよ。もし、リベルを殺せてもこのままじゃ魂はその悪魔のものになってしまいますからね。何が何でもあの悪魔を呼び出して、魂の所有者に関する契約も解除してもらわなければならない。

「あの悪魔を召還することもできないんですか?昔に召還したことあるんでしょ?」

「あるにはあるんだけど、あれの名前がわからない。僕の昔住んでいた城に行けば記録が残っているだろうけど、あそこへ行くことはもうできない」

 城……?リベルはいったいどういう暮らしをしていたんだろう。王族だったのだろうか。

「その城はどこにあるんですか、遠いんですか?」

 城に行けないとは言っているが、場所がわかれば「空間湾曲型転送門」を使って行って、「身隠しのローブ」を纏ってこっそり忍び込めばいい。

「城はね、この世界にないんだ。異界に存在しているんだよ」


 異界、それは現世ではないどこか。遠いから行けないとかそういう話ではなく、行く手段がない。

「でも、異界とは言ってもリベルは昔はそこにいたんだよね?じゃあ」

「僕がいた異界っていうのは天界、神々の世界だ。今の僕は天界を追放された身だ、どうにもできない。というか、あまり行きたくない」

 リベルは天界の出身、ということは神さまの側近とかそういう立場だったのだろうか。それで、なにやらやらかして追放されてしまったと、そういうことでしょうね。

 しかし、不死なんて今や神様でもいませんよ?もしかして不死特性を沢山獲得したことが原因で追放されてしまったのかもしれないですね。神様の側近が悪魔の力など借りたというのも大きそうです。

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