遭遇4

「ここのはずなんだが、依然来た時と形が違うようだな。ふーむ、大方これは君の自宅なんじゃないかね?自宅まで派遣してくれるとは良い上司じゃないか」

「まさか、自宅まで送られてくるなんて思ってなかったんで、すごい驚いていますね」

 確かに、冥界にある自宅を長い間放置するのは心配だし、気遣いがものすごくありがたい。現世に送られたのが突然で、長期滞在することになるというのもさっき判ったばかりで、自宅の私物のことなど頭から完全に抜け落ちていたのだが。しかし村長さんがあまり驚いていない様子で、状況を正確に把握しているのはどういうことだ。

「あぁ、死神がらみの事件はいつもとんでもないようなことが起きるので。なんたって生まれた時から死神が村にいて、とんでもない方法で死なない人を殺し続けているんですよ。もう驚きなれてしまいましたよ」

 聞くと、ある時には空から大きな炎の塊が落ちてきたことも、村の畑から不死者が生えてきたこともあるそうだ。いつの間にやら家が変わっているなんてことは大して驚くことでもないのだという。

「そうですか……ちょっと、部屋の中を確認したいので失礼しますね」

「リベルさんが戻ってきたら教えましょう」

「ありがとうございます、では」


 自宅なのに他の場所にあると何故だか他人の家のように感じて、少し警戒してしまう。実は今朝家を出たときに戸締りをし忘れたので、誰かが入り込んでいる可能性もある。

 こそこそしながら自分の寝室を覗き込んだとき、長い漆黒の髪を後ろでまとめた不審者がベッドに座っていた。

「ななな、何ですかあなたは!なんで私の部屋にいるんですか!?」

「ああ、君が彼の後任の死神かい。僕がリベルだ。驚いたよ、帰ってきてみたら家が建て替わってるんだもの。彼が前の家は持って帰ってしまったのだろうけど、あの家には僕も住んでいたからね。ここで待っていれば君が帰ってくるだろうと思って、ここで待たせてもらったんだ」

 どうやらこの不審者が不死者リベルらしい、それにしても乙女の寝室に勝手に入り込むなんて、殺しても殺したりない程の罪ですね。待つならばリビングでもどこでもあったでしょうに。ていうか村長さん、まだ帰ってきていないって言っていたのに、帰ってきてるじゃないですか!

「あなたが、不死者リベルですか。私があなたを殺すために派遣されてきたテロリカです、絶対ぶっ殺してやりますので、表に出なさい」

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