―消えた少女―


カシャッ 〔7:28分:表示〕


いつもの場所で風景を撮る

寝巻き姿でこの時間にベランダにでると鳥肌が立つほど寒い

トントンと二回ノックされた後ゆっくりと扉が開いた


「おはよう友里、母さんもう仕事行くね朝ごはんと弁当置いてあるから忘れず食べていくのよ」

急ぎ目で伝える母にのんびりと返答をする

「はーいお母さんも気を付けてね」

はーいと母は手を振り足音が遠くなる

さて私も学校行く支度しなくては、、はぁ、、

なんで学校がある朝は少し憂鬱になるのか、、今日は金曜日だしもう休みでいいじゃないかな、、、なんて考えても行くしかないからノロノロと動き出す


「行ってきます」そうつぶやき、本当は全然重たくない玄関の扉を重たそうに開け朝の寒さに耐えながら学校に向かう 

はぁ、、ため息と白い息が両方でてくる そういえば今日部活あるじゃん、、


¨写真部¨という名の”遊び場” 


私は真剣に入部したのに他半分以上の子はただ雑談しているだけ

顧問がいれば二、三回程度シャッターを押すだけの部活

部室は普通の教室を借りるだけで部員の皆で校庭や町などに繰り広げるわけでもない それでも私みたいに真剣に向き合ってる人たちも少なからずいる

そんな人たちと仲良くしたいがお互いコミュ症なせいかあまり会話したことがない

だけど一日も早く、そして長くカメラに触れシャッターを切れる時間があると考えると朝からワクワクする、

本来は部活活動が無い日は私物のカメラを持ってきてはいけない決まりがあるが携帯電話と違って音も勝手にならないし鞄の中から取り出さなければばれることもないため毎日持ってきてる

ちょっと不良みたいだな、なんてあほなことも考えてしまう

そんな毎日カメラや写真のことで頭いっぱいになりながら学校に向かう日々


カメラを発明した人!ありがとう!!心の中でスキップする私キモイ!?


そんなことを考えながら学校の近くにくるとほかの在校生たちの姿がぞろぞろと増えていく。校門前にも無駄に熱血的な先生が大きな声であいさつ活動をしている

「おはよー!!おはよー!あっ石川あとで職員室こいよー!おはよーおはよー!!」

無駄に暑い!暑すぎる、、

この時期にうれしいはずなのに暑苦しい!!

そんな先生の前を空気かのように素早く通り自分のクラス〔3年C組〕に入る。私には友という名の友人がいない、クラスに入ってもあいさつしてくれる子がいるわけがない

私自身もわかってるため素早く自分の席に座り読書を始める。読書といってもカメラ特集や写真集など見てるわけだがクラスの子達はそんなことお構いなしにきゃーきゃーと朝からサルみたいに騒ぐ女子達

言うまでもなくうるさい。うるさすぎる。

男子達はわけのわからないプロレスごっこなんて始めて埃が舞う

やめてほしい。いやっやめろ。

といつもの朝の光景のことながら朝の読書に集中できない、、、

もう閉じて寝たふりでもしようかな、、と思いつつ次のページに行く


「!?」


ガタンッ!!! 

クラスのみんながこちらを見る。私もその視線に気づいてひっくり返った椅子を持ち直しかけなおす

外見何事もなく座ってみたけど内心心臓が破裂しそうなぐらいドキドキしていた


だって・・・こんな特集・・・どういうこと!?


【カメラオタク必見!!!夕方に可憐な少女現る!!!】


そんなよくある題名がでかでかと乗っていた

そんな題名で驚くわけがない、ただ・・・内容とそこに乗っていた写真が・・・・


【夕方6時ごろその可憐な少女が急に姿を現すという噂がここ最近広まっているのはご存知だろうか?】

そんなの知らない。

【容姿はまさしくお人形!白いワンピースにお花柄の髪飾りをしているのだ!!】

服装が一致する。

【カメラ好きの人たちの前に現れ必ずその少女は「助けて」と言葉を言うらしいのだ!】

そんな、、馬鹿な話があるわけがない。

【しかしその言葉を発した後少女の姿はすぐ消えてしまいオタクたちの中では幽霊だの超常現象など言われている】

じゃあ私が見たあの少女は、、、?

【いったいこの少女は何者なのか??なぜカメラ好きの我々の前にあるのか!!カメラ界で有名な橋宗一さんに話を伺ってみた!!】


などこのあとも少女の内容でページいっぱいに埋まっていた。


橋宗一(はしそういち)、、、私の憧れの存在でカメラオタクなら知らない人はいないというまさに神のおかた、、そんな人でも初めてのできことだなんて言うんだもの

そりゃあ一般人並の私たちですらわからないことなのに、、、、でもこれあれだよね?宇宙人がいるー!とかUFOをみた!とかそんな感じだよね?

私が昨日見たあの子もこの¨少女¨なわけないよね??考えれば考えるほど悩む そんな私を見飽きたかのようにチャイムが大きくなった、、、


放課後朝から混乱してた私も冷静さを取り戻りつつ早歩きで写真部という名の教室にむかっていた

バンッ!?

勢いよく扉を開けてしまったためこちらに注目が走るがそんなこと今はどうでもいいのだ

「部長!!!これ見て!!」 勢いよく雑誌を目の前に置く

「うるさいよなに?神崎??みろって?もう見たよこの記事」だるそうに部長こと道重勇太(みちしげゆうた)が置いた記事と私を交互に見る

「なんで私とかほかの子達に教えてくれなかったの!!」

いつも独りで物静かにしてる私を見てる彼からしたら今の私を見て驚いているのか道重は少し焦り気味で言葉を返す

「なんでって、、、だって言ったところで何になるんだよ?しかもこんな記事嘘かもしれないじゃないか」

「確かにそうだけど、、、でも、、」

「でも?、、、」 私は少し躊躇った、、ここで仮に¨その少女を見た¨と言ったとしても信じてくれるのか?私だったらなんだこいつと冷めた目で見てしまうかも知れない、、なら打ち明けないほうがいいのではないか?

そんな目の前でいろんな表情をしていたのか道重がしゃべりかけた


「お前¨も¨この少女にあったのか?」


お前¨も¨????


言ってることはわかるが理解はできなかった

¨も¨ってなに?それは道重も見たってこと?

また悩み始める私に道重はこう続けた

「俺はまだ実際見てはいないんだが、、、二年のやつらがたまたま帰りにみたって言うんだよ」

「どこで?」

「ほら近くの田んぼとかなにもない殺風景な場所とか言ってたなー、、」

「どんな、、子だったの?」

「んー、、、あんまり覚えてないけどえーと、、ワンピース着てたとか言ってたな?」

「そう、、なんだ」

「まぁ俺も気になってはいたけど小さい子達の新しい遊びだと思ってはいたんだよ」

たしかにそれも一理ある

「でもここまで全国つうかいろんな場所で目撃されて容姿も似てて言葉も一緒ってことが同じとなると記事にも載せたくなるよな」

記事をめくりながら道重は言う

「神様もインタビューには初めてのことだからわからないって書いてるし」

神様とは橋宗一のことだ

「まぁ本当のことは今のところわからないけど、、、気になるよな」

こくんと私は頷いてた

「道重はこの少女に会いたいと思う??」私は恐る恐る聞いてみた

「そりゃあもちろん!神様ですらまだ撮れてないものが俺らに撮れるならすぐにでも会いたいよ!それに真相がわかるわけだしな」

意外な返答がきた、、会いたいなんて本当に幽霊だったらどうするんだとか恐怖心なんてこの男にはないのだろうか?

「じゃあもし、、私がその少女と、、、会ったって話したら信じる?、、、」目をぎゅっとつぶって下を向き細々しく聞いてみた

「、、、、」返答がない

そりゃあ今までの話しをのってあげてると思われても仕方がないのかもしれない

「うそ、、、やっぱなんでもな、、「信じるよ」

間抜け面をだしながら上を向いてしまったが、、


道重という男はこちらをまっすぐ見つめそう答えた

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カメラの世界 ぱるばる @parutann3

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