15枚目 狼象コンビ
「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」
怪物が唸り声を上げている廊下の角を曲がった所
「さて、コイツはクレサキがやられた相手だ。」
「そうみたいなんだな!」
お互いは自分達が知っている情報を再確認した。この確認を怠ることがどれだけ自らを危険に晒すか、それをよく理解しているからだ。
「あと俺が見る限りコイツは暴走体だ。」
「どういうことなんだな?」
「言ってみれば強制的に薬を飲まされている奴らだ。」
「どうしてそんな事知っているんだな?」
「なんにせよぶっ倒せ!そうしたらコイツをたすけられるぜ!」
「了解なんだな!」
2人は基本情報の整理を終えたところで互いに戦い方を確認していく。ヘルプタンはギブソンが少しごまかしているという点が気になってはいるが。
「ただ、狭い廊下では不利だ。」
「じゃあ体育館とかどうなんだな?丁度2階から入れるんだな!」
考えようとするギブソンに即座に思いつきだけで発言するヘルプタン。
「さっきの紅崎のように飛び降りれるわけではないし、教室だと廊下ほどではないが狭いな、そうさせてもらう!」
そう言うと2人は廊下のT字をまっすぐ進み、体育館のほうへと向かった。
「そういや体育館の1階にさっき気絶させた理典がいるんだな!」
「…………なるほど。ちょっとお前は引きつけておいてくれ!」
体育館についてヘルプタンは初めて理典とここで戦った事を思い出す。彼の記憶力はやはりあまり良い方ではないのだろうか。一方この情報を聞き自分の考えに確信をギブソンは体育館のほうへいく途中で考えていた行動を起こすためにヘルプタンを置いて下の階へと走った。
「来たんだな!【PowerShift】『攻』ッ!」
一方、ヘルプタンが投げ斧をゴレイムに投げていくが、石像に斬撃は通りにくく、全てが跳ね返される。
「こうなったら…………『速』ッ!」
ヘルプタンは1階に飛び降り…………
「『守』なんだなッ!」
着地寸前に守備能力を最大まで引き上げた。
GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
「ヤバいんだな!」
ゴレイムは飛び降りながらレーザービームで攻撃。
「『速』ッ!」
ヘルプタンは即座に回避するが、アフロの一部が焦げ付いた。
一方のグラウンドでは
「ダッチ、踏み潰せ!」
「オラァ!」
GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
「ありえねぇくらいうじゃってやがる!」
「全然減らねぇぞ!」
自らが乗ったダチョウを操りバーンズを蹴散らすシンと即席ミスリルソードを振り回してバーンズを蹴散らしすフィア。しかしやはり敵の数は増えるばかりだ。
「回復札ッ!」
「サンキュー!」
「サポートする暇あったら攻撃に参加しやがれ!」
回復してもらったのに対して礼を言うシンと攻撃に参加しろと怒るフィア。
「…………」
ハリモトが持ってきた攻撃札2種類のうち、起爆札は先程のフラワー戦で全て使用、岩石札は降りる際に楽をしようとして使ったので残り4枚。大切な時に温存してあるのだ。あくまでも『最高のサポート要員』として紅崎が仲間にしただけにやはり連戦となるとキツい部分がある。今後は対策を練るにしても、今回はサポートに回るしかないし、それが最善の選択なのだ。
「アイツに対抗する武器を得てきたぜ!」
ギブソンが持ってきたのは理典のガントレットだ。
「けどアイツに有効っていう保証はどこにも…………あ!」
「ほう、心当たりがあるのか。俺も賭けだったからな。」
ギブソンは理典が自らとよく似た格闘タイプ、かつ打撃を叩き込める武器を持っている事は知っていた。が、それが有効かという所までは確証を得ていなかったようだ。
それでもやはり相手を見る限り斧や爪はあまり効かないだろうと考え、理典の武器にかけた。
「じゃあアレいくんだな、『均』ッ!くるんだな!」
「OKだ!【PhantomBlack】 ッ!」
ヘルプタンはギブソンを片手で抱え、思い切って投げた。
ギブソンはその影から【PhantomBlack】を出して自らがゴレイムとの距離を詰めていく。
GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!
ゴレイムはカウンターでギブソンを殴り飛ばすのを狙っている…………
「ジャイアントナックルウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!」
【PhantomBlack】はゴレイムにギブソンの拳が当たる瞬間、拳にまといついた!GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
その叫び声が聞こえた直後、ゴレイムのいた場所では爆発が起こっていた。
「ほう、地味な女か。地味な女は苦手だから理典に手柄はくれてやろう。」
「どっちかわからないけど声が聞こえるほうに行くんだな!」
2人は足早に戦闘音の聞こえる方向へと駆けていく。
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