12枚目【ShineHand】VS【PhantomBlack】
「まぁこのあたりまでお前を引きつけられれば作戦は成功だな。」
「奇遇だな、俺もお前を引きつけようと思っていた。」
お互いに相手の能力を把握している者同士の対決。牙狼の能力は影から作った分身体を操る能力…………モノの中に入れる理典でも影に入った所で何が出来るわけでもないしハリモトの爆炎札と岩石札じゃあきつい相手と判断する紅崎。その天馬の能力は腕を様々な武器にする能力…………フィアの能力では接近戦がメインになるのは必至で必ず先手を取られ、フラワーの風は緻密な作戦を練る紅崎に逆利用されかねないと考えるギブソン。お互いに味方では対処しにくい相手。最も、自分なら対処しやすいとお互い思っているのには属性関係が絡んでくるのだろう。
炎は氷を溶かし水により消される。が、その氷も風を凍らせる。風は大地の影響を受けず、大地は雷を通さない。が雷は水に通りやすい。この六竦みの外にある属性を持つ。
光と闇はお互いをかき消し合う力が作用し合う。天馬は光の手を、牙狼は影の体をそれぞれ持っているのだ。だからこそ因縁があり、そこには正義も悪もない。あるのは戦いのみ。
「能力はお互い分かりきってるだろ?始めようぜ?」
「…………そうだな。【PhantomBlack】ッ!」
「【ShineHand】『ソード』ッ!」
いきなり能力同士でぶつかり合う所からも光と闇のぶつかり合いは避けられない、という事がよく分かる。ギブソンは紫のコートを脱ぎ捨てて影から分身体を出し、正面の紅崎に攻撃する。紅崎が能力を発動したかとおもいきや姿を消した。
「お前の能力、なかなかFREEDOMだな、だが俺の能力もFREEDOMだぜ!」
FREEDOM…………紅崎は自由な戦い方を好む。いきなり能力で相手を撹乱した。
攻撃力の持たない視覚エネルギー体のみを右手から出していたのだ。
「そこか!」
「フィストォォォォォォォォォォォオッ!」
が、予想よりも早くギブソンが紅崎の場所を把握、そしてPBをそこに向かわせる。
「チッ…………クソッ!」
PBの右ストレートは紅崎の右肩に命中。致命傷は避けたがかなりの痛手だ。クレサキは一番近い教室に前側から逃げ込んだ。
「どこに逃げても夜である以上校舎内は影だらけだから意味ないんだヨォ!」
ギブソンはそれを追いかけていく。ギブソンが後ろ側から部屋に入った瞬間、蛍光灯が点いた!
「ほう?これでもか?これで影はなくなったぜェ?」
紅崎はトレードマークのジャケットを着、赤色の通信器具を右目につけた状態で教卓の上に立っていた。クレサキの後ろから激しい光が差し込む。
光の近くに物体があれば影の色は濃くなる。つまりそれはギブソンの能力の破壊力の強化とギブソンの戦術の幅を狭める事の2つを意味する。紅崎は攻撃を喰らうリスクと引き換えに相手のFREEDOMを奪った。
「【PhantomBlack】ッ!」
PBは体を右方向に大きく屈め、影から飛び出て伸び上がるのと同時に強烈なフックを叩きつける。ビーム状の爪を持つギブソンはともかく、PBの戦闘スタイルはボクシングを見て覚えたのだろう。
「フッ…………楽勝だぜ。」
「誰が楽勝だって?」
「!?」
紅崎はPBの攻撃を『シールド』で防いでいた。
「忘れたのか?俺のシャインハンドは伸ばす事も可能なんだぜ?」
その顔は妹に向けられるものではない、非常に狡猾なにやけ面を見せながら高らかにそう言い放つ。
「この野郎、ぶっ殺してやる!」
紅崎は何が来るにしてもほぼ100%防げていただろう。考えられるギブソンの行動はギブソンの正面突破、PBの正面突破、PBの不意打ち、ギブソンの逃走の4パター。
実際に起きた不意打ちが一番可能性が高かったが、それ以外ならシールドを貼り直せばよかっただけ。逃走された場合もここから動かずに相手を攻撃する方法がある。
「あ、まだ終わってないんだな!」
「チッ、理典がやられたか。」
紅崎にとって予想外の事が起きた。理典と戦っていたはずの巨獣の登場。
しかし相手は挑発され怒りのボルテージが高まっている牙狼と理典と戦い精神的、もしくは肉体的に傷ついているであろう巨獣。
その頃、学校の裏山には紅崎とギブソンの戦いにヘルプタンが加勢したのを遠くから見ていた龍の怪物が。
「やっと見つけたぞ、紅崎終夜ッ!」
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